『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』まで全作映画館で見てきた、『重版出来!』松田奈緒子さんが語る「女性キャラクター」の魅力

映画

公開日:2016/1/8

松田奈緒子さん

 出版社の漫画雑誌編集部へ配属された新人編集者・黒沢心を主人公とした「本を作って売る人たち」の奮闘を描く『重版出来!』の作者である漫画家の松田奈緒子さん。スター・ウォーズの熱狂的ファンで、すべての作品を映画館で見ているという松田さん、すでに『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』をご覧になったそうで…果たしてその感想は?(ネタバレはありません!)

 

野っ原からディズニーランドへ行くような衝撃

 『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』、いかがでした? 見る前は相当心配されていたようですが…

「素晴らしかった! もう感無量、J.J.エイブラムス監督ありがとう!って感じですね。本当にどうなるか心配だったから、ホッとしました。『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』から30年の時空を超えたような気がして、自分も時空を超えたような瞬間を味わって、ホントに嬉しかったですね。歌舞伎ってそういうのがたまにあるんですよ。同じ演目を孫の代の方がなさったりすると、先々代の役を…みたい気持ちになるんですが、それと同じ感じがしたんです。『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』は『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』のお話を丁寧に浚って、重ねてたじゃないですか。同じセリフもありましたし。だからお芝居を見ている感覚に近かったのかもしれないですね」

 見た後でTwitterに「野蛮でエレガント、これが私のスター・ウォーズです」と書かれてましたね(笑)。公開初日にご覧になったんですか?

「実は公開してすぐ見に行かなくてもいいかなと思って、気にしないよう予告も見ないようにしていたんです。でも公開される週に、劇場へ『007 スペクター』を見に行ったら予告を見てしまって…そしたらもう気になって気になって仕事にならないんですよ! 仕事どころか料理の手順も間違うくらいで!(笑) それで私がものすごい興奮してたら、夫(編集者の新保信長さん)が「なんでそんな風になってるの?」って、ちょっと嫌そうに言うんですよ。彼は『未知との遭遇』派で、『スター・ウォーズ』は特に好きじゃないんですね。なのでどう説明したらいいかなと考えて、彼は阪神タイガースのファンなので「阪神が20年ぶりに優勝するようなもんだよ!」と言ったら「それは大変だ!」ってわかってくれたみたいです(笑)。漫画のアシスタントさんたちはみんなほぼ平成生まれなので、なんでそんなに興奮しているのかわからない、って言われました…。それで「これは一回見なければ何もできない」と、公開2日目の朝のチケットを見つけて、ひとりで見に行ってきました」

 スター・ウォーズを初めてご覧になったのはいつでした?

「小学校3年生のときです。『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』を父と妹と一緒に長崎の映画館で見て、あまりの衝撃に頭を殴られたようになってファンになったんですが、あのショックはそれまで何もない野っ原で遊んでいた子どもが、いきなりディズニーランドに連れて行かれたような極端なものだったんです。野原は野原でいいんだけど、あの楽しい、面白いっていう感じは、それまでの映画にはなかったんですよね。でも父はまったく気に入らなかったらしく、「子供騙したい!」と言っていて、私が小6のときに『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』を見に行ったときは、映画館まで送ってくれましたけど、見ませんでしたから(笑)」

ようやくここまできた女性キャラクター

 スター・ウォーズで好きなキャラクターは?

「私は人間関係やセリフ、衣装とかが好きなんですよ。だから全員が好きです! 足りない部分を補いつつ、いがみ合ったりしながらも、本当に危ないところを助け合ったりするキャラクターの関係が素敵なんですよね。それからレイアみたいな活躍する女性キャラクターっていなかったんですよ。少女漫画にはいたんですけどね。それまでの映画の中に出てくる女性ってだいたい足手まといになって、泣き叫んで、人に迷惑をかけたり、そうじゃなければ自己犠牲っていうパターンだったんですけど、私の認識ではレイアから変わってきたな、と感じたんです。レイアを演じていたキャリー・フィッシャーは今回はオーガナ将軍として活躍しておられて、相変わらずカッコ良かったですねぇ。そして今作ではレイ! 「女性だから」ではなくて、きちんとキャラクターがあっての主役だったので、レイアから約40年、やっとこういう子が主人公になったか~、と感無量でした」

 今後が楽しみですよね。ではスター・ウォーズでお好きなタイトルは?

「『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』ですかね。ハン・ソロとレイアの『I love you』『I know』というセリフに、めっちゃカッコええ!って思いました。あれが初めて映画で聞き取れた英語で、外国の言葉で感情を入れたセリフとして頭に入ったから、印象に残ってるんです。そしてハン・ソロが炭素冷凍されてしまって、私は『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』までの2年間、ずっと心配してたんです。それで溶けて出てきたら、ハン・ソロじゃなくてハリソン・フォードになってたんです! それまでは役者であることを意識していなかったので、初めて認識したんですよ、ハン・ソロってハリソン・フォードだったんだ、と。あのときに自我が目覚めたんじゃないかと思います(笑)」

BB-8がとにかくカワイイ!

 ところで『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』以降の新三部作はご覧になりましたか?

「私、新三部作があまり好きではなくて…CG過ぎるのと、殺陣が残念だったんです。やっぱり旧三部作の殺陣は凄かった! 体の芯がバシッと入ってて、腰と肩の線が動かなくて、ライトセーバーの持ち方も刀と同じでちゃんとしたチャンバラだったんですけど、新三部作はスピードだけあって、体の芯がないフニャフニャな感じで…。でも『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』の殺陣は結構しっかりしていたので、今後もチャンバラの伝統をよろしくお願いします、って感じですね」

 スター・ウォーズの影響はどんなところに受けましたか?

「初めて見た時にオリエンタルな感じがしたんですよね。衣装もそうだし、チャンバラもあった。それで初めて、自分の国の文化って誇れるものなんだなと感じられたんです。歴史ある良い国に私は育っているんだというのが、なんだか祝福されている感じがしたんですよ。そしてフォースを使うのには我慢が大事とか、ジェダイは何でもかんでもライトセーバーで暴力的に解決するわけじゃないとか、一種の理想の平和の形だなぁと思いましたね」

 最後に、スター・ウォーズはまだまだ女性ファンが少ないようなのですが、熱狂的ファンの松田さんからオススメの言葉をお願いいたします!

「まだスター・ウォーズを一度も見たことがないという人は、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』が“ファースト”スター・ウォーズでいいと思いますよ! むしろここから見始めるのは羨ましい、恵まれてるって思います。そしてとにかくBB-8がカワイイから、過去作見ないといけないとかすべて忘れて、とにかく映画館へ行って!と言いたいですね。実は私、ポスターとかでBB-8を見て「なんだあの丸いの?」って思ってたんですけど…まさかの可愛さでしたねぇ。あんなルックスなのに、毛が生えたフワッフワの動物くらいカワイイんですよ! 私ね、グッズとか買わない人なんですけど、タオル地の小さいBB-8のぬいぐるみがあったら欲しい! ボディのところをふにゅふにゅって押したら、電子音みたいに「キュッキュッ」と鳴るのがあったら絶対に買います!(笑)」

取材・文=成田全(ナリタタモツ)