あなたは内向型ですか? 内向型人間が外向型人間よりも優れている点とは

ビジネス

2016/3/23


『内向型人間のすごい力 静かな人が世界を変える』(スーザン・ケイン:著、古草秀子:訳/講談社)

 次の質問について、あなたに当てはまるものはいくつあるだろうか。

□グループよりも一対一の会話を好む。
□文章のほうが自分を表現しやすいことが多い。
□ひとりでいる時間を楽しめる。
□周りの人にくらべて、他人の財産や名声や地位にそれほど興味がないようだ。
□内容のない世間話は好きではないが、関心のある話題について深く話し合うのは好きだ。
□聞き上手だと言われる。
□大きなリスクは冒さない。
□邪魔されずに「没頭できる」仕事が好きだ。
□誕生日はごく親しい友人ひとりが二人で、あるいは家族だけで祝いたい。
□「物静かだ」「落ち着いている」と言われる。

 これは、『内向型人間のすごい力 静かな人が世界を変える』(スーザン・ケイン:著、古草秀子:訳/講談社)に記載された、内向型の特性と認められる要素の一部である。より多くの項目に当てはまったら、内向型である可能性が高いという(科学的に立証された性格テストではない)。

 本書の著者は、ハーバード大学ロースクールを卒業した元弁護士。内向型を自負する彼女は、粘り強く柔軟な交渉力で仕事をこなしたものの、法律が自分の天職ではないと気付き、現在はライターとして活躍している。本書では、企業や大学でコミュニケーション・交渉術の講師も務める彼女が、内向型人間の特性を独自の視点で論じる。

 さて、冒頭の質問だが、本書には20項目が並ぶ。ちなみに私は半分以上が当てはまった。うすうす感じていたが、やはりどちらかと言えば内向的な性格のようだ。いい歳をした大人なので人見知りを言い訳にできず社交的に振る舞うものの、実はびくびくしていることがある。言いたいことがあっても波風を立てたくないので我慢をしていることも多い。そんな自分はダサくて恥ずかしいから、なるべく隠そうとする。

 著者が指摘するのが、内向的な性格よりも外向的な性格が評価される風潮だ。アメリカの名門校・エール大学では、総長が「理想のエール大生はしかめ面の専門家ではなく、円満な人間だ」「抜群の成績でも性格が内向的な学生はあまり好まれない」と話している。確かに、例えば就職活動のとき、学歴もさることながらコミュニケーション力が重要視される。グループディスカッションなんてことをやらされたときには、初めて会った人といかにフレンドリーに接することができて、うまく意見を交換できるかが試される。内向的な人間にとってこれほど苦痛なことはない。自分の性格が社会人として劣っていると思い知らされるのだ。

 だが、内向的な性格が反社会的であるとする考えは間違っているというのが、本書の主張である。アップル社創業者の一人、スティーブ・ウォズニアックは若い頃は引っ込み思案で単独行動を好んだそうだ。彼は自伝の中で次のように子供たちを励ましている。

「これまで会った発明家やエンジニアの大半は僕と似ている――内気で自分の世界に生きている。(中略)ひとりで働け。独力で作業してこそ、革新的な品物を生みだすことができる。委員会もチームも関係なく」

 また、熟考することが得意な内向型は、外向型に比べて作業スピードが劣る傾向にあるようだが、ある心理学者の実験によると、50人の被験者に難しいジグソーパズルを与えたところ、外向型は内向型よりも途中で諦める確率が高かったという。別の実験では、内向型と外向型の人たちに複雑な迷路の問題をやらせたところ、内向型の方が正解率は高く、実際に解答用紙に書きはじめる前に時間をかけて考えていることがわかったそうだ。持続性を必要とする課題では、内向型の方が問題を解決できる可能性がより高いのだ。スピードを求められるのが苦手な私は、この説明におおいに励まされた。本書を読むと、内向型であることを誇りに思えること請け合いだ。むしろ内向型でありたいとさえ思えてくる。

 だが、実際には人は外向型と内向型に完全に分かれるわけではなく、外向型と内向型の両面を少しずつ持っているのではないかと筆者は指摘する。また、内向型の人も、自分が重要視する仕事や愛情を感じている人々、高く評価をしている物事のためには外向型のように振る舞えるという。確かに「本当に人見知り?」と言われることがある人は意外と少なくないだろう。そして、もちろん外向型が悪く、内向型が良いというわけではない。両者は互いの性質を補い合って存在している。実際、ビジネスでも友人関係でも恋愛関係においても、互いを刺激し合い惹かれ合うことが多いらしい。

 つまり、どちらか一方の性質に肩入れする必要はないのだ。外向型であっても内向型であってもいいし、場合によっては両者を行き来することもできる。そして、もし内向型の気質が強いと感じるのであれば、そのことに劣等感を持つ必要はないようだ。忍耐強く思慮深い自分にもっと自信を持っていいのかもしれない。

文=林らいみ