「いい先生」と思われるには「黒くなれ」! 教師が自衛のために持っておきたい“腹黒い策略”

社会

2016/4/6


『策略プレミアム-ブラック保護者・職員室対応術』(中村健一/明治図書出版)

 教師受難の時代かもしれない…というと、「身から出た錆だ」と手厳しい声が飛んできそうだ。それにしても、一部の教師の言動で、すべての教師が巻き添えを食うのは、気の毒に思う。

 心ある教師が自衛策を必要とするときなのかもしれない。『策略プレミアム-ブラック保護者・職員室対応術』(中村健一/明治図書出版)が提唱している自衛策の数々は、保護者から見ればかなり過激な内容だ。しかし、「すべての教師の味方」をこれまでの著書で公言してきた著者は、「教師は誠実で真面目である。だから教師になったのだ。しかし、誠実さや真面目さだけでは報われない。厳しい現場を生き抜くために黒くなれ」と、“腹黒い策略”を授ける。

 たとえば、新しいクラスを持ったら、影響力のある保護者の子どもは「ひいき」して、子どもと保護者を味方につけることを勧めている。影響力のある保護者を自分で見つけるのは難しい。学級懇談会などでは目立たない「影のボス」のような保護者もいる。本書では、前の学年の担任たちから積極的に情報を得ておくことが肝要だとしている。

 保護者にとってはエグいと思われそうだが、本書は「日本国憲法 第15条・2項」にある「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」という条文を根拠に、「特別な保護者への特別な対応は、『全体』のためなのだ」と胸を張る。

 保護者の信頼を得る“策略”もある。本書によれば、「どんなに素晴らしい授業をしようが、保護者には分からない。分かるのは、テストの点だけである」。テストの点を上げることで、保護者が味方になる。テストの点の上げ方は、そんなに難しくないという。社会科のテストで「奥羽山脈」と「濃尾平野」の名前を書く問題が出る場合、毎授業の最初に5問程度のミニテストを実施することとし、この中に「奥羽山脈」と「濃尾平野」を必ず入れておく。稽古を積み重ねることで、子どもはテストで書ける。この策略を実行する場合は、「新しい単元に入る前に、先にテストを見ておくように」と念押ししている。

 最初の授業参観も、信頼を得るための重要な場だ。近年、子どもの主体性を発揮するために「ワークショップ型授業」がしばしば取り入れられる。授業参観でも、ワークショップ型授業で子どもが友達と積極的に意見交換をしたり、先生に相談をしに教室を歩いたりするなどの様子が見られるが、本書はこれをNGとしている。保護者が持つ授業のイメージは「黙って座って、先生の話を聞くもの」。ワークショップ型授業は学級崩壊のように映ってしまう恐れがある。そのため、最初の授業参観は普通の「座学」を勧めている。子どもが落ち着いて授業を受けている姿に保護者は安心し、教師への信頼度を高める。参観日は「保護者サービスの日」でもあるので、スーツにネクタイも忘れないように、と付け加える。

 このほかにも、“腹黒い策略”が目白押しの本書をもし保護者が目にすれば、不快感を抱くかもしれない。しかし、本書では、心ある大半の教師は誠実で真面目に仕事をしているのだから、もっと報われてほしいと強く願っている。教育現場の切実な声が聞こえてきそうだ。

文=ルートつつみ