剥き出しの性欲・残酷な仕打ち・子殺し―あえて“毒”を抜かず語り継がれてきた「昔ばなし」の本当の怖さ

文芸・カルチャー

2016/4/27

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 大人にも読み応えのある「昔ばなし」を取り上げ、原点に忠実に再現した『読めば読むほど恐ろしい原典「日本昔ばなし」』。子殺し、残酷な仕打ち、剥き出しの性欲…。目を背けたくなる物語の中には、語り継ぎたい“人の本質”や“知恵”が隠されている。

「(こ、これはッ)」女房の首が、串に刺されて囲炉裏の灰に突き刺されていた。その目は夫を見上げ、ぽたぽたと涙を流している。夫は凍りついてしまったかのように身じろぎもできなかった。「おまえさん、なあ」再び女房の首が口を開いた。そのときだった。女房の首がひょいっと串から飛び離れ、夫の首にしっかりと食らいついた。『女房の首』より

同書は、あえて“毒”を抜かず語り継がれてきた「昔ばなし」の本当の怖さ・面白さを味わえるよう、工夫が散りばめられている。例えば、それぞれの話のあとには物語が語り継がれてきた地域や、話中に登場する人や物の由来、どんなテーマを訴えたかったのかなどの「解説」が盛り込まれ、昔ばなしをより深く楽しめるようになっている。

その他にも、瓜から生まれ全裸で柿の木に吊るされた「瓜子姫」や、大釜で煮殺された兄妹の復讐「継子と笛」。マントを被ると、美しい娘から醜い老婆へ変身する「婆皮」や、菜の花の下には姉が埋まっている…「お銀小銀」など、全11話を収録。毒をたっぷり含んだ“この怖さ”は、目をそらしたくてもそらすことができないほど…。

■『読めば読むほど恐ろしい原典「日本昔ばなし」
著:由良弥生
価格:630円(+税)
発売日:2016年2月26日(金)
発行:三笠書房

由良弥生(ゆらやよい)
日本や世界の読み物文学に興味をいだき、古典や伝承の追究を続けている。地域をこえて共通する比喩的表現に関心をもち、童話や昔話の再現に挑戦、ベストセラーを次々と生み出す。当時の世相、風俗、恋愛、さらには人々の深層心理を探り、大胆に描写するその巧みな筆致は多くの人に支持され、高い評価を得ている。

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