仕事ができても出世できない人って…?

ビジネス

2016/5/9


『超一流の処世術 余計な敵をつくらずに圧倒的な成果を生み出す方法』(金田博之/日本実業出版社)

 外資系ソフトウェア企業SAPジャパンに入社後、1年目で社長賞を受賞し、30歳で早くも部長に昇格。そして35歳で本部長に抜擢され、全社10万人のなか、グローバルで上位2%のハイパフォーマーに7年連続で選抜されるなど出世街道を走り、その後も大手日系企業の経営中枢で活躍し続ける金田博之氏。

 実力があり成果も出しているのに、「処世術」を知らないために周囲との関係に悩み、本来の力を発揮できずに損をしているビジネスパーソンに向けて、新著『超一流の処世術 余計な敵をつくらずに圧倒的な成果を生み出す方法』を上梓しました。

 ビジネスの世界では結果が一番モノを言うはずなのに、なぜ、「処世術」が必要なのでしょうか。金田氏の新著から見てみましょう。

まずは成果を出すこと。でも「お山の大将」化に注意!

 池ビジネスパーソンとして高いレベルを目指すのなら、まずは成果を出して認められなければなりません。若いときには、がむしゃらに、自分の数字をあげることが必要です。

 成果を出し続けていれば、係長など現場のチームリーダーを任せられるでしょう。しかしその先に、出世するかしないかの分かれ目が待っています。ここからは成果の出し方が問われるのです。

 この段階でもそれまでと同じように自分の数字だけを追いかけていると、「結果さえ出していれば何をしてもいい」という過剰な結果至上主義になり、傲慢な言動が出てくることがあります。周囲には自己中心的な「お山の大将」に見えるでしょう。改善されなければ、周囲との人間関係がうまく築けなくなり、一定のライン以上の結果を出せなくなってしまいます。その結果、「お山の大将」ですらいられなくなり、「やっかいもの」になります。

 一方で、現場のリーダーとして、チームや他部署の仲間のことを優先して考え、彼らと共有する目的をリーダーシップを発揮して達成していくことができれば、部長以上の昇進を目指す「トップタレント」として抜け出すことになります。簡単なマトリクスを示しましょう。

出世は二段ロケットだ(23ページより)

 縦軸に「視点」とあることに注目です。新人[D]が成果を出し続ければ[B]へ移ることができます(1→)が、どれだけ高い成果をあげる人でも、視点が自分中心では「お山の大将」止まり。それを他人中心、あるいはもっと大きな「目的」に変えることができれば、次のステージ[A]へジャンプできるというわけです(2→)。

 このように「自分中心」から、「他者×自分」へと視点を切り替えることこそが、金田氏のいう「処世術」なのです。

ネガティブな心理だって、視点を変えれば転換できる!

「視点の切り替え」について、ひとつヒントを紹介しましょう。

 金田氏は「成果を出す人が傲慢になる3つの心理」として、「承認欲求」と「自尊心」、「劣等感」をあげています。この心理メカニズムがグルグルまわっていると、「お山の大将」化の危険があるというのです。たしかに、これらの心理が言動にあらわれてしまうと周囲の反感を買うというのは容易に想像がつきます。

「トップタレント」になるには、これらの心理をコントロールする必要があります。難しく感じるかもしれませんが、先に述べた「視点の切り替え」ができれば、それぞれを裏返すように、意外に簡単に転換できるのです。下の図を見てください。

「お山の大将」と「トップタレント」の違い(56ページより)

 視点を「自分中心」から「他者×自分」へ変えるためには、3つの心理を「引き立て役志向」「目的志向」「ファクト志向」に転換すればよいのです。

 ここでは、「引き立て役志向」への変化の例を紹介しましょう。

「承認欲求」を他人に向けて「引き立て役」にまわろう

 金田氏曰く「承認欲求が強い人は相手の承認欲求を満たす能力が高いのです」。つまり、強い承認欲求がある人は、他人が同じように持つ欲求のことも良くわかるはずだ、と言うのです。

 金田氏の知人で経営者のAさんは人一倍自己主張が強く、ノリだしたら自慢話がずっと止まらないような人。

 ある日の酒席でも自慢話が始まりましたが、金田氏は、Aさんがうれしそうに話すので「すごいね」「それはどうやってできたの?」「なぜうまくいったの?」と相槌や質問を交えながら聞いていました。

 するとその後、Aさんは同席した別の人に金田氏のことを、知人であることを自慢するように紹介しはじめたそうです。その言葉はなんとも適切で、金田氏の気分も良くなっていくようなものだったとか。承認欲求が強いAさんは、金田氏という他人の承認欲求をどうすれば満たすことができるのかも、わかっていたのでしょう。

 Aさんは、強い承認欲求を他人の金田氏に向けたのです。この視点の転換によって「引き立て役」にまわり、Aさんの好感度は上がりました。

 社内では次のような「引き立て役」にまわれば、手柄を独り占めすることなく、「みんなの成果」にすることができ、周囲と信頼関係を築くことにつながります。

例えば社内の打ち合わせにおいて、「この企画俺が考えてきたんだ」と発言して相手の反感を買うのではなく、この企画はTさんのひらめき力、Sさんの情報収集力、Yさんの資料作成力がそろって実現できたんです」と相手の役回りを意識したことを言えるようになります。その内容が具体的であるほど、周囲はあなたに好感を持つでしょう。
51ページより

『超一流の処世術』では、こうした心理をコントロールするための行動法をさらに具体的に解説しています。また、「最初から謙虚であろうとするな」「成果は自分から言わない」「酔っても他人の悪口を言わない」「引き立て役に回れば結果を最大化できる」「保守的な上司とはつかずはなれずの関係をつくる」など、金田氏の実際の経験が活かされた「処世術」を、多数学ぶことができます。

 この本は、「成果をあげているのになぜ評価されないんだ」と不満を持つ読者の、いままでの視点を変えるきっかけになるかもしれません。

文=日本実業出版社