『信長の忍び』作者による新戦国ギャグ4コマ『真田魂』!人間臭くて笑えるキャラ設定にも注目!

マンガ

公開日:2016/4/28


『真田魂』(重野なおき/白泉社)

 「戦国最強の一家」として名を馳せる真田家を描いた『真田魂』(重野なおき/白泉社)第1巻が4/28(木)に発売。

 これまで『信長の忍び』、『政宗さまと景綱くん』、『軍師 黒田官兵衛伝』などの戦国4コマを手がけた重野なおきの最新作となる本作『真田魂』は、WEBコミック誌『ヤングアニマルDensi』(白泉社)上にて2015年1月から連載スタート。真田一族を描いた家族愛と郷土愛にあふれる笑いあり涙ありの戦国4コマだ。

 時は戦国の世。信濃国真田郷(現長野県上田市周辺)に真田家という戦国大名がいた。真田家当主の真田昌幸。長男・真田信幸。そして後に「日本一の兵」と称される次男・真田信繁(幸村)。地方の小領主にすぎなかったこの一族が、やがて天下を揺るがし歴史にその名を刻む。

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 戦の絶えない殺伐とした戦国時代の物語だが、ユーモアたっぷりのギャグマンガになっている。戦では向かうところ敵なしの甲斐の虎・武田信玄が温泉好きで芋虫嫌いだったり、第六天魔王・織田信長が甲斐を欲しがる理由が特産物の甲州ぶどうや信州りんご目当てだったり、天下人・徳川家康が大のビビリで戦場ではいつも脱糞寸前になっていたり、史実から読み取れる歴史上の偉人たちのどこか人間臭く親しみを感じさせる一面が、ほのぼのとしたタッチで描かれている。

 主役となる真田家の面々も実に人間味あふれるキャラクターだ。父・真田昌幸は、物事を見抜く眼力の持ち主で、戦場では敵軍の動きをいち早く察知し、奇策を練って翻弄する武田軍随一の切れ者と言われる智将も、家庭内ではむっつりスケベで愛妻家。信玄亡き後は、後継者の勝頼の無鉄砲ぶりに頭を悩ませたり、イエスマンばかりで頼りない家臣団をまとめる中間管理職のストレスを下駄投げで発散していたりと、現実にもどこかにいそうな気苦労のたえない仕事人間の父親像で描かれる。

 そんな父親の苦労する姿を傍で目にして育った長男の信幸は、責任感が強く勤勉な優等生だが、父親に似て苦労性な青年に。一方、真田郷の忍び衆に囲まれて大自然の中で幼少期を過ごした次男の信繁(幸村)はトラブルメーカーだが、さまざまな知識や経験を真綿のように吸収する好奇心旺盛で陽気な少年へと成長する。生真面目で努力家な兄と、自由奔放で天才肌な弟、実に対象的で個性的な兄弟だ。

 真田家の仕える武田家は、信玄によって一時代を築くが、やがて織田信長によって次々と城と領土を奪われ、味方の家臣たちも寝返って崩壊寸前に陥る。父・真田昌幸は、この絶体絶命の危機にいかに立ち向かうのか。そして信幸と信繁(幸村)の兄弟は、これからどんな成長や活躍を見せるのか。

 真田の家紋として伝えられる『六文銭』は、三途の川の渡し賃。「死を恐れぬ決死の覚悟で戦う」という不退転の決意の表れだ。だがそれは「死んでもかまわない」ということではない。死を恐れずに最後の最後まで「あきらめないこと」、それこそが『真田魂』なのだ。

 時代の荒波に翻弄されながらも家族の絆で困難を乗り越えていく、「戦国最強の一家」真田家の今後の動向に注目だ。

文=愛咲優詩

●『信長の忍び』2016年TVアニメスタート!
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