障害のある子に親が残せる最大のプレゼントとは

社会

2016/5/12


『障害のある子が「親なきあと」にお金で困らない本』(渡部 伸/主婦の友社)

 障害のある子は、「親なきあと」の生活で、どのくらいのお金が必要なのだろうか。親は、どのようにしてお金を残し、渡していけばよいのだろうか。

 『障害のある子が「親なきあと」にお金で困らない本』(渡部 伸/主婦の友社)の著者は、講演での質疑応答やアンケートで寄せられる悩みの多くが「お金に関すること」だと明かす。

 障害のある子を持つ親が、「この子は障害のために働けそうにない」「働いても健常者と比較して収入が少なかったり不安定だろう」という不安を持つのは当然のことだ。そのため、多くの親が「できるだけたくさんのお金を残してあげたい」と考える。

 しかし、本書は、「必要以上のお金はいらない」と断言する。なぜか。本書によると、一つ目の理由は、障害者はさまざまな場面で福祉の支援を受けられるため、最低限の生活は守られること。二つ目の理由に、子どもが資産を持つことで使いすぎ、かえって借金をしてしまったり、騙し取られたりするリスクが増すことを挙げている。

 よって、「できるだけ多くお金を残したい」と考える必要はないというのが、実際に障害のある子の父親である著者の主張だ。

 とはいえ、親が生きている間にわが子にしてあげられることは、いくつかある。本書は、「親なきあと」に子どもがお金で困らないための5つのポイントを掲げている。

【「親なきあと」に子どもがお金で困らないための5つのポイント】
(1)定期的にお金の入る仕組みを用意する(年金、手当、信託など)
(2)そのお金が子どもの生活に使われる仕組みを用意する(成年後見、日常生活自立支援事業など)
(3)生活の場=住む場所を確保する
(4)入院のリスクに備えて医療保険に加入する
(5)困ったときに頼れるルートを確保する

 とくに、本書は(5)の重要性を強調している。障害のある子の将来を見通して、すべての準備を親や家族だけで整えておこうとすると、負担感でつぶれてしまうという。そうならないために、さまざまな支援者を巻き込むことを勧めている。

 たとえ、親がいなくなっても、子ども本人ができるだけたくさんの人々と接点を持ってさえいれば、世話は周囲の人々が見てくれる。そのくらいの温かみを社会は持っているし、人々とのつながりが「親なきあと」の最大のプレゼントだと信じつつ、今できることから準備を進めて欲しいと、本書は願っている。

文=ルートつつみ