結婚するのは何のため? 他人とうまく暮らすには? 結婚生活の不安を解消するQ&A

恋愛・結婚

2016/10/24

『困難な結婚』

 『困難な結婚』(アルテスパブリッシング)――というと、「やっぱり結婚生活は大変。内容は、きっと非婚(結婚しない生き方を選ぶこと)のススメじゃないか?!」――と思っていると、とんでもない勘違い。

 もともとはある編集者が企画したインタビューが原型になっており、その編集者が自分の結婚のときに「引き出物」として出したいということで、お祝い代わりに著者がインタビューに応じたものの、その結婚が破談となったため、しばらく宙に浮いていた原稿を基にしたものであるという。時間の経過から、かなり加筆し、「困難な結婚」のしのぎ方に力点がおかれ、回答がまったく変わってしまったものもあるそうだが、基本は「Q&A」の形をとっている。質問自体はオリジナルのままで、若い人の「結婚不安」である。

 結婚する前の人たちが読めば「結婚したくなる」。すでに結婚している人たちが読めば「結婚生活が気楽になる」――これが目的だと、著者は言う。この本は、「非婚」というより、一貫して「結婚はこんなふうにいろいろたいへんだけれど、それが『ふつう』だからあまり気にすることはないですよ」というスタンス。「まずは、やってみよう!」という、「結婚のススメ」なのである。

 著者の内田樹さんは、哲学者や思想家というイメージが強いが、合気道の道場兼私塾「凱風館」を開設している武道家でもあり、古参のブロガーでもある。

「Q&A」を一部紹介しよう。

■「こうすれば結婚できる(あるいはあなたが結婚できない理由)」の章より

Q. なかなかいい人が見つかりません。どうしたら自分に合う、良い結婚相手と出会えますか?

A. …「もっといい人」は現れません…結婚しちゃえばだいたい同じ…

■「結婚するのはなんのためか?」の章より

Q. 今つきあっている相手と結婚しても、幸せな結婚生活を送れる自信がもてなくて、結婚に踏み切れずにいます。どうしたらよいでしょうか?

A. …今より幸せになるために結婚してはいけません…不幸にならないように結婚するんです…

■「他人とうまく暮らすには」の章より

Q. 一緒に暮らしてみると、生活習慣が違いすぎて、やっぱりほかの人と一緒に暮らすのはなかなか難しいなあと感じます。他人とうまく暮らすコツってありますか?

A. …自分にはよくわからない人と一緒に暮らせるということが結婚のおもしろみ……貧しくても、さまざまな物心の不如意があっても、とりあえず「まあ、何とかなるよ」とにこにこ笑っていられるような「機嫌のよい夫婦」に…

 一貫しているのは、A(アンサー)の、独特のウチダ・カラー。「結婚」は多くの人が通り過ぎる道の途中でおこる こと。「結婚」に対する若い人の悩みはわかるけど、堅く考えないで。そもそもアカの他人同士が一緒に暮らすんだし…という考え方だ。

 「ウチダからの祝辞」として、「合気道と結婚」「結婚生活を愛情と理解の上に構築してはならない」の2つも収録されている。現実的で、心に響く祝辞である。長さもちょうど良く、ウチダさんにこの話をされたら、結婚披露宴はきっと盛り上がっただろう。

「結婚」に悩んだら、読むだけで気持ちが楽になる一冊。

文=塩谷郁子