平成生まれの私が、電通若者研究部の『若者離れ』を読んで改めてバブル世代に伝えたいこと

暮らし

2016/10/25

『若者離れ』(電通若者研究部:編/エムディエヌコーポレーション)

 クルマ、お酒、たばこ、恋愛…。あらゆる若者の「◯◯離れ」が叫ばれては、若者たちの未来が悲観視されている。だが、平成生まれの私としては、「上の世代の思い込みで心配されてもなぁ…」というのが正直なところ。上の世代ともっと理解し合えたらと思うのだが、彼らには、我々が理解不能な「モンスター」か何かに見えるらしい。

 電通若者研究部編『若者離れ』(エムディエヌコーポレーション)では、現代の若者を取り巻く現状が、若者視点で描かれている。「新人が部署に配置されたが、会話が噛み合わない」「年頃の息子と話ができない」などと、対若者で悩みを抱える人は、この本が若者理解の第一歩となるに違いない。

 平成の時代に生まれた若者たちは、すなわち、不況生まれ“デフレ育ち”。生まれてすぐにバブルが崩壊したため、景気がよい時代を知らない。学校に入学したら新学習指導要領に基づく「ゆとり教育」が始まり、「ゆとり世代」と揶揄された。就活が始まれば「リーマンショック」「就職氷河期」…挙げ句の果てに「東日本大地震」が起きた。未来に期待が持ちにくい時を過ごしてきたが、デフレ環境のなかで、安くていいものが当たり前に手に入る恩恵は味わってきた。

 「景気のいい時代を知らないなんて可哀想」と上の世代はよくいうが、若者の多くは現状の生活に不満はない。「国民生活に関する世論調査」によれば、20代の若者の79.1%が「今の生活に満足(or まぁ満足)」と答え、これはどの世代よりも高い割合だった。だが、現状に不満はなくとも、将来への不安は抱えているらしい。「若者まるわかり調査2015」によれば、「自分の将来が不安」と答えた若者の割合は全体の64.4%。もっと細かく年齢ごとの変化を見ていくと、男子は25~27歳くらいにかけて「お金」に関する不安が高まり、女子は20歳を過ぎたあたりから、「結婚」「老後の生活」への不安を抱え始める。「結婚はともかく、若者が老後の心配なんて…」と思うかもしれないが、若者から見れば、不安に思わない方がおかしい。「結婚できなかったら、老後は1人かもしれないんですよ…」「30代になって結婚してなかったら、マンションでも買おうかな…」。

 将来への不安を抱える若者たちが最も大切に感じているのは、「仲間とのつながり」だ。常に手元にスマホがある環境で暮らしているため、常時誰かとつながらざるを得ず、当然、他人の目を気にするようになった。「人より目立ちすぎてイタイ奴と思われたくない。まったく目立たないのは嫌だけど、叩かれるくらいだったら、ほどほどでいい」

 だからこそ、今の若者は、場面に合わせて自分のキャラクターを使い分ける。たとえば、学校のクラスでは「元気キャラ」、いつものメンバーの間では素を見せるから「毒舌キャラ」、Twitterでは好きなアイドルについてつぶやくから「ミーハーキャラ」というように所属するコミュニティによって、見せる自分を切り替える。大切なのは、自分がどう思うかよりも、周りがどう思うかという他者目線。各コミュニティにおける「正解」を探して、そこにあまり外れない言動を選ぼうと若者たちは苦心している。

 こんな若者を上の世代の人はどう感じるのだろうか。リスクテイクせず、リスクヘッジを選びがちな消極的な存在として受け止めるのだろうか。どうか若者を対立する存在として見るのではなく、フラットに見つめてほしい。この本は、若者の声が詰まった1冊。若者は、上の世代とだって、争う気はない。人生の先輩たちと、互いに理解し合い、協調し合えるようになることを、若者たちだって求めている。

文=アサトーミナミ(平成生まれ/ゆとり世代)