執事から学ぶ、上手なダンドリの仕方。やるべきことを効率よく片付けるためにすべきことは?

ビジネス

公開日:2016/12/12

『執事のダンドリ手帳 世界のVIPを満足させる「気くばり」と「手際」の理由』(新井直之/三笠書房)

 仕事も家事もやることがたくさん溜まると何から先に手を付けたらいいのかわからなくなるという人がいる。その一方で、いくらたくさんのやることがあってもテキパキと効率よく片付けられる人もいる。この差はいったい何から生まれるのだろうか? そこで、同時進行の達人である執事が、上手なダンドリの仕方をレクチャーしてくれる本『執事のダンドリ手帳 世界のVIPを満足させる「気くばり」と「手際」の理由』(新井直之/三笠書房)を紹介する。

執事の仕事は1対1ではない

 執事というと外国の王侯貴族の世話をする人というイメージを持っている日本人が多いのではないだろうか? ドラマには登場するが、現実の日本にはいないと思っている人も少なくないだろう。しかし、日本で活躍する執事は、人数こそ多くはないが現実にいる。著者の新井直之氏も日本で働く執事のひとりだ。しかも、日本で唯一の執事サービス会社を経営している、執事の中の執事なのだ。

 彼によると、執事とはいわゆる大金持ちの人のプライベート秘書のようなもので、ご主人様の要望に最大限応えるのが仕事なのだそうだ。しかも、映画やドラマで見るような1対1の関係ではなく、同時に複数の人の執事を務めることも珍しくないという。特に、彼の場合は複数の人の秘書を同時進行で務めながら、自分の会社から派遣している執事の管理業務まで行っているというのだから驚きだ。1人だけを相手していても、求められることに即座に対応するのは難しいことなのに、A氏のパーティーの準備をしながらB氏のご子息を送迎し、C氏が日本に滞在している間住む邸宅の準備もするということも普通に行うという。確かに、このような仕事を同時に並行して行うためにはしっかりとしたダンドリが必要だというのもうなずける。

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執事は当たって砕けない

 執事は「とりあえずやってみる」ということはしない。「やってみてうまくいかなかった」は許されない仕事だからだ。やるべきすべてのことに対して目標を立て、どのような手順で行うかを計画する。そして、優先順位がはっきりしてから行動に移すようにするのだ。いつまでに何をやらなければいけないかがはっきりしていると、どの順番に物事をこなしていけば時間内に終わるかがわかるため、同時進行も可能になる。

質と効率のどちらを重視するかの見極めが重要

 物事には「やらなければならないこと」と「やらなくてもいいこと」があるが、実は執事は2つでなく4つに分けているという。「今すぐやるべき重要なこと」「重要ではないがすぐにやらなければならないこと」「今やる必要はないがあとでやる必要があること」「別にやらなくてもいいこと」の4つだ。要領よく仕事をこなすためには、まず、「別にやらなくていいこと」は手を付けないことが大事だ。残りの3つに関しては、「今すぐやるべき重要なこと」と「重要ではないがすぐにやらなければならないこと」をできるだけ早く済ませてしまい、「今やる必要はないがあとでやる必要があること」を少しずつ進めていくと効率がいい。

整理はできるだけシンプルに

 書類の整理はダンドリよく仕事するためには欠かせない作業だ。整理するときはできるだけシンプルにまとめるようにするといい。見た目の美しさは重要ではない。例えば、年と月を書いた角2号の封筒で小分けして、1年分ずつ箱にまとめると整理しやすく、探すときもすぐに見つかる。書類はなくさないことと、必要な時に取り出しやすいことを最優先する。残しておかなくても構わないものは、スキャンしてから捨てると情報だけ残すことができかさばらない。

 執事のワザは執事にしか使えないものではなく、誰もが生活や仕事に活かせるものだ。気配りのコツも一緒に身に付けておけば、周りの見る目が大きく変わるかもしれない。

文=大石みずき