2011年書籍売り上げは増加 要因は東北復興

公開日:2012/1/12

 出版不況と言われるなか、「2011年の書籍売り上げは対前年比2%増」という明るい報告が、国内最大の出版販売会社、日販から昨年末発表された。日販の中間決算によると、昨年4〜9月の売上高は前年比3%減、雑誌は5%減であったが、書籍は増!

  『謎解きはディナーのあとで』『心を整える。』『くじけないで』……と「近年にないミリオンセラーの続出が原因のひとつでは」と語るのは、日販経営戦略室広報担当室長の岩本幸子さん。
 「10冊以上もの作品がミリオンセラーとなるのは珍しいこと。昨年刊行のものだけでなく「もしドラ」や『体脂肪計タニタの社員食堂』など息の長いものも。それらのメガヒット作が、他の書籍の売り上げも牽引していったのではないかと考えられます」 「そしてさらに大きな要因が!」と、岩本さんは続けた。

 「キーワードは東北。全国の書籍の平均売り上げと被災地の売り上げを比較すると、2011年の4〜10月で、全国は前年比マイナス1.5%に対し、東北6県ではプラス5.1%。さらに大きな被害を受けた岩手、宮城、福島の3県は6.1%増です」

 宮城県の書籍の売り上げを見ると、震災の起きた3月は前年比マイナス59.8%、4月はマイナス36.2%。だが5月はいきなりプラス57.7%! それ以降も二桁台の前年比売り上げが続いている。

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 「衣食住が整ってきた時、被災された方々が何を求めたか。やはり活字が欲しかったのではないでしょうか。復興が始まり、書店再開時には長蛇の列ができたという話も多く伺っています。顕著に売れたのは震災の写真集だったそうです」  

 昨年の書籍売り上げ好調を受け、2012年は出版界に新たな風が吹いてきそうだ。

(ダ・ヴィンチ2月号 出版ニュースクリップより)