たった3分で200万部突破のロングセラー『思考の整理学』を読破! 「忘れることが大事」なワケとは?

ビジネス

2017/2/20

 本を読む時間がない日々忙しい人のために、ロングセラー、ベストセラー、話題の本etc…ダ・ヴィンチニュース独自の視点で選書した名著を紹介! 第5回は、出版から30年以上経った今なお読み続けられているロングセラー『思考の整理学』です!

 

 1983年に刊行された『思考の整理学』。2000年代に入ってから「もっと若い時に読んでいれば……」という書店員の手書きPOPで話題となって、東大や京大の生協でベストセラーになるなど若い世代にも読まれ、2016年に発行部数200万部を突破したロングセラーだ。英文学者である外山滋比古氏の独自の思考法をまとめた本書は6部構成で、今では当たり前の「コンピューター」に対して30年以上も前(1983年はアップルから「Lisa」が発表され、マイクロソフトのOS「Winodows 1.0」の発売は1985年)に警鐘を鳴らすなど、その内容はまったく古びていないどころか、大量の情報に翻弄される現代人こそ読むべき内容である。

『思考の整理学』

【新しさ】★★★★★(30年以上経っても、読む人に新鮮な驚きを与える)
【実用性】★★★☆☆(古くなった部分をアップデートしたり、自分に合うやり方へ応用することが必要)
【納得度】★★★★☆(ハウツー本ではないので、「こうしなさい」という押し付けはない)
【オリジナリティ】★★★★★(外山氏独自の考え方でありながら、汎用性は高い)
【わかりやすさ】★★★★★(平易な言葉で説明されており、分量も200ページ強で読みやすい)

 

①「グライダー能力」と「飛行機能力」

 人間には受動的に知識を得る「グライダー能力」と、自分で物事を発明・発想する「飛行機能力」が同居していて、どちらも必要である。しかし学校教育ではグライダーばかりが生み出され、新しい文化を創造する飛行機能力が育たない。自分で翔べないグライダーは、やがてコンピューターに仕事を奪われてしまう。

 

②見つめるナベは煮えない

 自分の頭で考える過程を酒造りに例え、アイデアと素材を「発酵」させて「寝かせる」ことが大事であり、他の知識を混ぜ合わせる「カクテル」を行えと説く。さらには物事を並べ替えるなどの編集を行い、別のことを組み合わせて類推し、偶然性をも取り込むこと。一途に考え、対象を正視し続けることは思考の自由な働きを妨げる。これを外山氏は「見つめるナベは煮えない」という外国のことわざで表現している。

 

③情報を整理→統合→抽象化→体系化する記録術

 思考の整理というのは、ただ知識や情報を集めるだけではダメで、それらを整理して立体的・質的に統合し、抽象化して体系化せねばならない。情報をいかに記録し、どう保存するか。この章では新聞や雑誌のスクラップ、ノートやカードの活用方法などが紹介されている(情報のネット化、デジタル化が進んだ現代ではパソコンやスマートフォンを併用することを考えながら読みたい)。

 

④忘れることが大事

 人間の頭をよく働かせるには忘れることが大事で、思考の整理とは「いかにうまく忘れるか」だ。記憶することはコンピューターにかなわないので、不易の知識だけを残す。また考えるばかりではなく、とにかく書き出してみる、そして書いたものを聞いてもらうことも有効だ。そして考えごとが上手く行かないときにクヨクヨするのは大敵。それには「褒める」ことが大事で、行き詰まったら外へ行き、良いとことを見極めて褒めてくれる仲間と話を。褒められた人の思考は活発化するのだ。

 

⑤会話を楽しみ、閃きを逃さない

 考えた末に得られた着想を話してはいけないが、こもりきりもよくない。知的な会話や論談は思わぬアイデアを得られる。そこで聞いた話を関連づけてまとめておくと、話のタネにもなる。またアイデアはいつでもどこでも閃く。中でも「無我夢中」「散歩中」「入浴中」がいい考えの浮かぶいい状態にあるという。

 

⑥第一時的現実を大事に

 現実というのは物理的な世界の「第一次的現実」と、頭の中に作られた「第二次的現実」が存在する。この第二次的現実として問題なのがテレビで、第一次的現実であるかのような錯覚を起こさせる。しかし真に創造的な思考は、第一次的現実に根ざしたところから生まれる。そして本書最後の項目は「コンピューター」だ。外山氏は「機械が人間を排除するのは歴史の必然である」とし、その例として産業革命を挙げている。

 

【まとめ】知る活動には機械的側面が大きく、それだけ人間的性格に問題をはらんでいるので、知ることよりも考えることに重点を置いているという本書。現代は第二次的現実と指摘されたテレビよりも発達した「インターネット」が存在する。さらに人に代わって学習・推論・判断を行う「A.I.」(Artificial Intelligence=人工知能)が凄まじい勢いで進化している今だからこそ、「機械やコンピューターのできない仕事をどれくらいよくできるかによって社会的有用性に違いが出てくることははっきりしている」という外山氏の言葉を噛み締めねばならない。

 

文=圧縮小太郎(あっしゅくしょうたろう)

 

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