文芸・カルチャー

満場一致で≪大賞≫受賞!! 第2回角川文庫キャラクター小説大賞受賞作がついに発売!! お仕事×警察×ファンタジー!

『憧れの作家は人間じゃありませんでした』(澤村御影/角川文庫)

憧れの作家は人間じゃありませんでした』(澤村御影/角川文庫)は、第2回角川文庫キャラクター小説大賞≪大賞≫として、選考会満場一致で選ばれた期待作だ。

「人間じゃなければ何なんだ……」もうタイトルから気になる。あ~……言いたい。言いたいけれど、我慢してまずは本作のあらすじを!

 主人公の瀬名あさひは、出版社に勤務する文芸書の若手編集者。
素直で一生懸命なあさひだが、とある大御所作家から「あなたってつまらない人ね」と担当替えを希望されショックを受ける。実はあさひ、元カレからも「普通すぎてつまんねぇ」と言われた経験があり、「平凡な自分」を気にしていた。

ある日憧れの覆面作家、御崎禅(みさき・ぜん)の担当となる。世間的にも知名度があり、あさひが編集者を志すきっかけでもあった御崎。しかし彼には不思議な「注意事項」が。「昼間は連絡しない」「銀製品は身につけない」……どういうことかというと、なんと、憧れの作家である御崎禅は現代に生きる吸血鬼だったのだ。
 作家として小説を書くかたわら、彼は警察のとある「捜査」にも協力している。それは「人外の存在が起こした事件」だ。本作には妖怪や化け物といった「人外」の者たちが登場する。それらが起こした事件を解決するために、警視庁では「異質事件捜査係」なる特殊部署があった。

 事情があり、御崎禅は吸血鬼として「異捜」の調査を手伝っている。しかしそれよりも新作の原稿を書いてほしいあさひは、御崎禅のボディーガードも兼ねて、事件の早期解決につとめるが、「座敷童誘拐事件」「黒い犬事件」「女子大生監禁吸血事件」――どれもこれも、「普通じゃない」出来事ばかり。
果たしてあさひは御崎禅に新作長編小説を書いてもらえるのか? そして、ラストに明かされる御崎禅の秘密とは……!?

 本作は警視庁の刑事や政治家も登場するので、どこか某2時間ミステリードラマを彷彿とするところも。さらに仕事に全力投球するあさひが主人公なので、仕事への活力がもらえる「お仕事小説」でもある。
一方で、吸血鬼や「人外」の者たちが出てくることから、「ファンタジー要素」もあり、この「現実感」と「ファンタジー」の融合が絶妙で、物語に惹き込まれた。ファンタジーが過ぎると「所詮、空想だよね」という気分になるが、「もしかして現実でもこういう事件が起こっている……?」と思わせてくれるところが、読者にとってはなにより嬉しいのでは。

 そして主人公のあさひ。彼女が仕事や人間関係に一喜一憂し、「つまらない自分」に不安を抱えながらも、まっすぐ仕事に取り組む姿は、働く女性にとって大いに共感をもたらすのではないだろうか。
 吸血鬼である御崎禅のキャラクターもいい。超絶美男子、クールでドS。だからこそ、終盤の「傷ついた姿」にはキュンとしたし、「小説を書き続ける真の理由」は涙なしで読めなかった。
 また本作には新旧多くの映画が登場する。映画に絡んだ物語も展開するので、映画好きは何倍も楽しめる一冊になっているだろう。

あさひと御崎禅、この二人のコンビをもっと読みたいので、続刊を希望したい……!

文=雨野裾



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