ただ本を借りるだけなんてもったいない! 知っておきたい図書館ならではの楽しみ方

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/12

『図書館徹底活用術』(寺尾 隆/洋泉社)

図書館には数多くの蔵書があるが、上手に使いこなせている人は意外と少ない。棚に並んでいる本を読んだり借りたりするだけで終わっている人がほとんどだからだ。実は、図書館の蔵書は、棚に並んでいるものより書庫に眠っているものの方が圧倒的に多い。だから、莫大な情報が活かされずにもったいない状態になっているわけだ。そこで、ビジネスや生活に役立つ図書館の利用法を教えてくれる『図書館徹底活用術』(寺尾 隆/洋泉社)を取り上げる。

意外と知らない図書館にしかない魅力

図書館のことを単なる無料貸本屋だと思ってはいないだろうか? もしそうだとしたら、とても損をしている。図書館が一般の書店と大きく違っているのは、売れるか売れないか、新しいか古いかにかかわらず、幅広く資料価値のあるものを集めている点だ。だから、書店には並ばないような本も図書館には所蔵されるし、一定期間経っても返品されてなくなるようなことはない。例えば、既に絶版になってしまった本は、一般の書店には並ばないが、図書館の書庫の中にはたくさんある。蔵書検索すれば、棚に並んでいなくても読むことができるのだから、書店の何倍、何十倍もの資料が揃っていることになる。見えている本はごく一部に過ぎないため、図書館ではうまく検索をかけて、資料を探し出せるかどうかが重要になる。

知っておきたい図書館ならではの楽しみ方

図書館に置かれているのは本だけではない。雑誌や新聞、地図、中にはCDやDVDなどまで置かれている図書館もある。雑誌は普段書店で見かけるようなファッション誌や主婦向け雑誌、マンガ雑誌などだけでなく、なかなか見る機会のない業界誌や専門誌なども幅広く揃えられている。しかも1年分以上のバックナンバーが保存されているため、数年分を一気にまとめ読みすることも可能だ。新聞に関しては、地元の新聞なら何社分か置かれているのが普通で、1年分から数年分は遡って閲覧することができる。縮刷版の形で地元以外の新聞や、何十年も前の新聞を閲覧できる図書館もあるため、同じ事件の新聞を何社分か比較することも可能だ。貸し出し不可の資料もコピーサービスを利用すれば、資料を持ち出すことができるから、うまく利用すれば調べものも楽になる。

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複数の図書館を使い分けるコツ

図書館は最寄りの1館しか利用できないと思っている人が多いようだが、実は複数利用できるケースが多い。だから、目的によって図書館を使い分けるようにするのがおすすめだ。最低でも最寄りの図書館と、もうひと回り大きい市区町村の中央図書館の2か所は貸し出しカードを作っておくといい。自治体によっては、同じ市区町村内の別の図書館の蔵書を取り寄せて最寄りの図書館で借りられるサービスを行っているところもある。蔵書検索機を上手に使いこなせれば、欲しい資料が最寄りの図書館になくても、別の図書館の書庫内から引っ張ってくることも可能になるのだから、検索機の使い方はしっかり覚えておきたい。

図書館利用のテクニックが満載

この本には他にも図書館利用のテクニックが満載されている。ラベルの請求記号の読み解き方や、児童コーナーの活用法、ホームページやデータベースの利用法、レファレンスやパスファインダーの使い方、専門図書館の活用の仕方など、基本的な使い方から「こんな使い方があったのか!」と目からうろこが落ちるような使い方まで網羅されている。だから、この本を読んだらきっと、これまでとは違った図書館の使い方をしてみたくなるはずだ。まずは、検索機の使い方を覚えて、書庫内にある資料を出してもらうところから始めよう。おもしろい資料に出会えるかもしれない。

文=大石みずき