宮根誠司の無茶ぶり&ツッコミに翻弄される「ミヤネ屋」解説委員が生放送でのスリル感を激白!!

テレビ

2017/4/10


『「ミヤネ屋」の秘密 大阪発の報道番組が全国人気になった理由(講談社+α新書)』(春川正明/講談社)

 平日午後1:55から日本テレビ系列の全国ネットで放送中の「情報ライブ ミヤネ屋」(読売テレビ制作)は、宮根誠司氏が司会の報道番組だ。その番組づくりの裏側を明かす『「ミヤネ屋」の秘密 大阪発の報道番組が全国人気になった理由(講談社+α新書)』(春川正明/講談社)によれば、同番組は全国的に高視聴率を維持し、激戦区の関東地区でもここ3年以上、同時間帯において視聴率トップを独占し続けているという。

 たしかに筆者も同番組を最初に見た時、「面白い」と思った瞬間があった。それは番組内で、キー局である日本テレビの報道フロアーからの最新ニュースが生中継される場面だ。通常なら報道アナウンサーは終始、生真面目な顔でニュースを読み上げれば、それでお役目終了だ。ところが同番組では、ニュースを読み上げた後、スタジオの宮根氏からやってくる質問・問いかけの「振り」に対して、アドリブで返さなければいけないのだ。アナウンサーのそれまでの無表情が、宮根氏の無茶振りによってほころんだ瞬間、従来の報道番組にはない「ライブ感」を感じ取ったのは、おそらく筆者だけではないだろう。

 本書の著者、春川正明氏は読売テレビの解説委員で、同番組のレギュラーコメンテイターにして制作スタッフでもあり、宮根氏からいつやって来るかも知れない無茶振りに、日々、戦々恐々としているひとりでもある。

 そんな著者によれば、同番組では宮根氏とコメンテイター(政治家などは除く)の間でどんな質疑応答をするかの想定台本はなく、すべてアドリブだそうだ。それ自体は同番組に限ったことではないだろうが、著者によれば、同番組が特徴的なのは宮根氏の質問があまりにも予測不能・想定外なこと、だという。

 例えば、EU職員の給与が高すぎるという話題の際には、「EU職員の給与も高いだろうけど、春川さんもっともらってるのんちゃうん?」と問われ、著者は絶句したそうだ。本書には、こうした宮根氏vs.著者のスリル感あふれる生放送中のやり取りがいくつも紹介されている。

 著者によれば、これは単なるジョーク的な発想ではなく、宮根氏には常に庶民派の“オバチャン目線”があり、そこから来るツッコミなのだそうだ。海外の話より、日本のベテラン・テレビマンの給与事情が気になるオバチャン目線、というわけである。

 本書では、同番組が「何を大切にして、どう制作されているか」という舞台裏を、宮根氏目線という軸で紹介する一方で、著者目線を軸にした「テレビマンの仕事」に関しても様々に記されている。

 例えば、著者が過去に経験したロス支局での海外特派員とはどういう仕事なのか、どんな苦労があるのかなどが、自身が体験したいくつかの事件・事故取材のエピソードを交えながら明かされている。また、視聴率と番組制作、キー局とローカル局の関係など、将来、テレビ業界で活躍したい人にとっては活きた参考書にもなるだろう。

 また、本書で著者が強調しているのは、「報道の公平性」と「権力(機関・者)のチェック機能」という、テレビメディアに課せられた重大なミッションを、いかに「ミヤネ屋」の中で果たしていくかというテーマについてだ。宮根氏と著者は番組内で、ときに漫才のような掛け合いも展開する。ミッションを果たすために張り詰めたスタジオの空気を和ますには、そんなボケとツッコミが不可欠なのだろう。

文=町田光