ストレスが溜まる色とリラックスできる色って? 色は感情のコントロールにも使える?

暮らし

公開日:2017/4/16

『色は無言であなたの心を動かしている。』(七江亜紀/大和書房)

 どんな色を選ぶかを見れば相手の気持ちがわかるとよく言われる。気分や性格によって好む色が変わるからだ。では、なぜ気分や性格によって好む色が変化するのだろうか? 色が心にどんな作用をもたらすのかを解説してくれる本『色は無言であなたの心を動かしている。』(七江亜紀/大和書房)を取り上げる。

色を統一すると落ち着く理由

 自分がいつもどんな色に囲まれているかをじっくり考えたことがあるだろうか? 普段何気なく過ごしていると案外気が付かないことも多いが、改めて服の色を見てみたら、お気に入りの服はどれも似たような色だということに気が付く人がいるかもしれない。部屋を見てみたら、カーテンも寝具も家具も色やトーンが似ていたという人もいるだろう。人間の脳は、一度に目に入ってくる色の数が多すぎると、すべての色に目が行き落ち着かなくなる。そのため、考えがまとまらなくなってしまうのだ。逆に、色に統一感があると、脳はスムーズに働きやすくなる。もちろん、いくら似たような色でもトーンが違えば脳は別の色として認識するのだが、同じ系統の色であれば、脳は負担を感じずに済むため、知らず知らずのうちに似たような色を集めることになる。

一色だけの世界は逆に思考を止める

 いくら落ち着くからといって、黒一色やベージュ一色という部屋で過ごしていると、人は考えることをやめてしまう。意識を向ける先が無くなってしまうからだ。人は無意識のうちに色のあるところに目が向く。だから、ポイントになる色は必要なのだ。モノトーンのファッションにあえて赤や青などはっきりした色を加える「差し色」も、目の行き場所を作っているという点では同じ考えだ。

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 もし、持ち物がすべて黒になったら自分の存在を消したくなっている証拠。緑一色になったら、周りとのコミュニケーションを避けたがっているなど、色に偏りが見られるときは、選ぶ人の心理が色に出ている。色はかなり雄弁な情報源なのだ。

色は感情のコントロールにも使える

 人は自分の心に合った色を選んでいるように見えて、実は色によって心を動かされているのだと著者の七江亜紀氏はいう。壁の色によって寒そうに感じたり、暖かそうに感じたりするし、同じ色の部屋でも、中に置く家具の色によって広く感じたり狭く感じたりすることを考えれば、確かにそうなのかもしれない。そこで、色に心を動かされるばかりではなく、色を上手に使って感情をコントロールしたらよいのではないかというのが七江氏の提案だ。例えば、やる気が出ないときは赤い下着を身に着けるとか、仕事や勉強をがんばりたいときは濃い茶色の部屋を選ぶとかその程度のことでいい。ほんのわずかな違いなのに効果は絶大だという。体調や天候などで左右されやすい心のバランスを取るのに色を利用すると楽にコントロールできるというのだ。

ストレスが溜まる色とリラックスできる色

 それぞれの色には暗示効果がある。赤なら積極性・刺激・情熱など、青なら清潔・冷静・信頼などという暗示効果があり、どんなところにどれくらいの分量使われているかによっても、心に与える影響が違ってくる。例えば、広い範囲にはっきりした色を使うと、一度に目に入ってくる分量が多いためストレスになりやすいが、いくら分量が同じでも赤一色と青一色とではストレスの大きさが異なる。赤は緊張や刺激を与える色のため、ストレスになりやすいが、青は冷静さを感じさせる色ということもあり、同じ分量でもストレスにはなりにくい。ストレスが溜まる色とリラックスできる色を正しく理解して、どのくらいの分量まではストレスを感じにくいかをしっかり調べて使うようにするとよいだろう。慣れれば、気分を高めるのにも落ち着かせるのにも自由に色を使えるようになるはずだ。

文=大石みずき