「うまい棒」か「ペヤング」か……全国魅力度ランキング下位、茨城vs.群馬がプライドをかけて死闘を繰り広げる!

暮らし

公開日:2017/4/14

『茨城vs.群馬 北関東死闘編(講談社+α新書)』(講談社)

 調査会社「ブランド総合研究所」が毎年おこなっている「地域ブランド調査」をご存じだろうか? 2006年にスタートし、昨年で11回目を迎えたアンケート調査だ。これは日本全国の3万人の男女に、各都道府県の県外からの「認知度」「魅力度」、県内からの「愛着度」などに関するアンケートを実施するもの。その魅力度部門の最新ランキング結果で、栄えある第1位は北海道、2位京都府、3位東京都。うん、まあそうだよね、という印象の上位3県だろう(地域ブランド調査2016『魅力度47都道府県ランキング』より)。

 一方、ランキング下位に目を向けてみると、45位群馬県、46位栃木県、47位茨城県と北関東三銃士が名を連ねている。とくに47位の茨城県は、2015年も47位。その前年もその前年も……と、思いきや2012年には群馬県が47位を獲得。華やかな上位県とはうらはらに、下位では過酷なデスレースが繰り広げられている。

 先日発売された『茨城vs.群馬 北関東死闘編(講談社+α新書)』(講談社)では、全国の方々から魅力がないと思われている両県が、それぞれが本来持っている“魅力”を武器に激しいぶつかり合いを見せている。

advertisement

 魅力がないと揶揄されている両県だが、同書の第2章では、それぞれの風土や名産、企業を紹介。そのなかには、私たちが長年慣れ親しんできた企業や食品も少なくない。たとえば、1本10円で楽しめる「うまい棒」を製造している「リスカ」は、茨城県常総市に本社を置く。そして、2014年に「虫混入事件」が発生し、販売を休止するも、ファンからの熱い声援により蘇った「ペヤングソースやきそば」の「まるか食品」の本社は群馬県伊勢崎市。このように、我々にとっても身近な食べ物が、茨城と群馬が拠点になっていることがわかるのだ。

 そのほかにも、群馬県出身の著名人と茨城出身の著名人が激論を交わすコーナーもあり、群馬出身のタレント・JOYと、今も茨城に在住しているモデル・鈴木奈々が熱い地元愛を語り合っている。

JOY もっと群馬にはいろいろあるでしょ。草津とか伊香保とか。行ったことないの?
鈴木 あ、草津ならめっちゃ行ってた! 家族が温泉好きだから。でも、あそこって群馬だったんだ。知らなかった。
JOY それ、よく言われる、みんな草津は知ってるのに、長野県にあるとか言われちゃう

 家族旅行の定番にもかかわらず“知られていない”切なさを感じる対談だ。この類の会話は、茨城と群馬に挟まれている栃木県出身の私にも経験がある。たとえば「栃木ってどこ? 行ったことない」といわれて「日光東照宮行ったことあるでしょ」「修学旅行で行った! あれ栃木なんだ」というリアクションが返ってくることがほとんど。同書の続編には、ぜひ栃木県を加えて三つ巴の戦いを繰り広げてもらいたいものだ。

 死闘の勝敗は読者に委ねられている同書。県民のみならず、全国のみなさんにも両県の魅力を知ってもらいたい、そう願いたくなる一冊だった。

文=田中ハルカ