夫婦関係はコツをつかめば上手くいく! 『なぜ夫は何もしないのか なぜ妻は理由もなく怒るのか』

恋愛・結婚

2017/4/23

『なぜ夫は何もしないのか なぜ妻は理由もなく怒るのか』(高草木陽光/左右社)

 結婚する前に、奥さんに宣言したことが三つある。家事は手伝わない、子育ては任せる、浮気はすると。もちろん、そんな「関白宣言」は早々に「関白失脚」となるのだけれど、夫婦喧嘩は数知れず、それこそ新婚当初には奥さんがカキフライにウスターソースをかけたことで、塩とレモンで食べたかった私が激怒して家出したことがある。また、離婚届を突きつけたこともあるものの、翌日には奥さんが紛失してウヤムヤになってしまった。

 なにやら読者の冷たい視線が突き刺さり痛い気もするが、よその夫婦喧嘩の事情など、聞いてみれば呆れるものであることは少なくないだろう。『なぜ夫は何もしないのか なぜ妻は理由もなく怒るのか』(高草木陽光/左右社)は、そんな夫婦間の問題を7000件あまりカウンセリングしてきた著者が、具体例を挙げながらテーマ別に解説している。

 例えば家事の件では、「夫は、教えてほしい」「妻は、自分で考えてほしい」というように、各テーマに「夫と妻の考え方の違い」を最初に提示している。性の在りようが多様化している現代において、いささか単純に分けすぎているとしても、とかく夫婦間の問題は複雑になりがちであるから、一旦単純化して自分に置き換えてみるというのは理解しやすい。そして、自分の考え方が「妻側」であるか「夫側」であるかと整理してみれば、考え方の違いが同じ事象に対する「受け取り方の違い」を生み、問題が拗れていく過程も見えてくるというものだ。

 育児に関しても、「夫は、ときどき育児に参加したい」「妻は、ときどき育児を休みたい」と指摘されると、なるほどそうかもしれないと思い当たる。育児をすること自体が大変なのではなく、「自分のやりたいことが“やりたいタイミング”でできないこと」が妻のストレスになるのだと著者は述べ、夫には「妻が一人になれる時間をつくってあげる」ことを、妻には「何を、どうやったらいいのかわからない」夫に具体的に教えて「一人で抱え込む必要はありません」というように、各テーマの終わりに一言アドバイスを添えている。

 特に気をつけたいと思わされたのは、「夫は、特別なプレゼントが重要だと考える」「妻は、日々の気遣いが重要だと考える」という話で、著者によれば妻に100万円のプレゼントを贈っても「妻の嬉しさポイントカード」には「1ポイント」しか加算されず、日々の感謝の言葉や気遣いも全て1ポイントで平等なのだそうだ。そのうえ、ひとたび夫婦喧嘩になると、「夫は、逃げる」「妻は、責める」となり、別居に至る場合は「夫は、現状から逃れるために別居する」のに対して、「妻は、永遠に離れるために別居する」ので、夫が一時的にと思っていても、ハイそれまでよとなる可能性が高いらしい。新婚当初に私が家出したのは、危なかったんである。

 つまるところ本書は、長持ちするのは「そこそこいい夫婦」であり、そのためには「目新しいこと」をする必要は無く、「相手の立場になって考える」という「思いやり」が重要なのだと、ごく当たり前のことが書かれているにすぎない。しかし、そのためのコミュニケーション(対話)をするにしても、本書で提示されているようなポイントを整理しないと難しいだろう。

 実は本書と出逢うずいぶんと前に奥さんと話し合いを重ねて、結婚前に宣言したことについて、お互いに合意した点もある。食後の食器を洗うとか洗濯物を干して取り込むといった、子供のお手伝いレベルででも役割分担を決め、本当の子供に対しては話の聞き役になることと学校行事に可能な限り参加することを約束し、浮気については奥さんが相手を面談のうえでの許可制となった。ありがたくもあり、ありがたくもなし。

文=清水銀嶺