良い会話をするために重要なのは「質問力」良い質問をするためのコツって?

ビジネス

2017/4/25

『「良い質問」をする技術』(粟津恭一郎/ダイヤモンド社)

 日常生活において、質問をする機会は非常に多い。特に、仕事上の事となれば質問をするのは大事な事だ。そうして幾度も質問を重ねていると、たまに「良い質問ですね」と言われる事がある。こう言われたら何となくうれしいものだが、はたしてどのような質問が“良い質問”となりうるのだろうか? 仮に「良い質問ですね」と言われた時、どうしてそのように言ってもらえたのかを知りたくはないか。それを解説したのが『「良い質問」をする技術』(粟津恭一郎/ダイヤモンド社)である。

 結論から言えば、良い質問とは問われた側に何らかの“気づき”を与えてくれる質問の事だ。そもそも質問の定義は以下のようなものだ。疑問または理由を問合せただすこと(『広辞苑』より)。この定義で見る限り、質問によって情報を得るのは主に質問者側という事になる。良い質問とは、訊いた側だけでなく問われた側にも何らかの気づき……つまり情報をもたらす質問という事だ。では、どうすればそのような質問をする事ができるのか? 何が良い質問となるかは、基本的にケースバイケースであり、どんな場合にも対応できる万能な質問は残念ながら存在しない。だが、良い質問をする為のコツとしての工夫や準備はする事ができる。そのコツのひとつは“質問はノイズを消して自分が訊きたい事だけにする”というものだ。

 これは、質問の意図をより正確に相手に伝える為の工夫である。ここで言うノイズとは「◯◯についてはこのような話を聞いた事が……」などの前置きや、自説を延々と語る事を指しており、肝心の質問の焦点がぶれてしまっている状態の事だ。日常会話においても、要領を得ない長々とした話に良い印象を抱く事はないだろう。質問は、要点だけを簡潔に述べると良いという事だ。また、良い質問をする準備としては、質問する際にネガティブな気持ちを持たないように心がける事が挙げられる。例えば「そのような事はできるはずがないのではありませんか?」というようなネガティブな面に触れる質問は、問われた側にも暗い気持ちを想起させ、良い質問とはなりづらい。もちろん批判意見は時に必要なものだが、あまりにも毎回ネガティブな質問ばかりされると、問われた側も気が滅入るのだ。そして、相手の気を滅入らせるほどにネガティブな質問を繰り返してしまう背景には、問う側の精神状態が関わっている場合が多い。悩みを抱えていたり、体調不良だったりする時、人は無意識に思考がネガティブな方に傾いてしまう。そうなれば、その思考回路から導き出される質問も必然とネガティブなものとなってしまうのだ。自分の精神衛生をより良い形で保つ事がより良い質問をする為の基本とも言えるだろう。

 本書によると、質問には4種類がある。それは、軽い質問・重い質問・良い質問・悪い質問の4つだ。この分類は本書の著者独自のものであり、分類の基準は問われた側が“どれだけ答えたくなるか”に置かれている。「答えたくなるが、気づきがない」のが軽い質問、「積極的に答えたくなる事はないが気づきがある」のが重い質問、「答えたくなり、かつ気づきもある」のが良い質問、「答えたくならず、気づきもない」のが悪い質問……という事である。もう少し詳しく言えば、重い質問とは、相手が普段から気にしているものの目を背けている部分に切り込んだ質問の事であり、場合によっては他責的思考を自責的思考に転換させるなどの気づきを相手に与えられる事もある。悪い質問とは相手の事情や状況を考慮しない謂わば“自己中心的な質問”という事になる。また、良い質問をする為には、軽い質問の使い方が思いのほか重要となる。軽い質問とは相手との関係を良くする為の質問であり、相手が答えやすく、また成功体験に関する事など話していてうれしくなるのが軽い質問の特徴だ。これを重ねる事は、初対面の人と良好な関係を築く為には大事な事であり、軽い質問を重ねる事が良い質問をする為の下地作りや情報収集にもつながる。ただし、軽い質問かどうかを決めるのは、質問者側ではなく問われた側だ。自分では軽い質問のつもりであったとしても、相手にしてみれば不躾な質問だった……という事もありうる。そうならない為には、開口一番に質問をするのではなく、まずは雑談をするなどワンクッションを置くとより良いかもしれない。良い質問をする為には、自分だけでなく相手の視点を想像し考える事が大切なのだ。

文=柚兎