不調が現れる前に――。日々のストレスから自分を守る「コーピング」って!?

ビジネス

2017/4/27

『折れない心がメモ1枚でできる コーピングのやさしい教科書』(伊藤絵美/宝島社)

「コーピング」という言葉をご存じだろうか? ≪「ストレスへの意図的な対処」を指す心理学用語のこと≫なのだが、日本ではあまり知られていないかもしれない。一方で、アメリカでは随分前から多くの企業や学校などが「ストレス対策」のためにその理論を取り入れ、効果が実証されているそうだ。

「コーピング」とは、何か具体的な名称ではなく、「ストレスに対処するための、あらゆる方法」と考えていいだろう。

折れない心がメモ1枚でできる コーピングのやさしい教科書』(伊藤絵美/宝島社)では、その「コーピング」について、誰でも今すぐ簡単にできる方法を、臨床心理士の著者が綴っている実用書だ。

「コーピング」の最大の目的は、自分のストレスに気づき、適切に対処し、決してゼロにはできないストレスとうまく付き合っていくこと。

 そのためにはまず、自分のストレスの実像を明らかにする必要がある。「家族間のストレスなら〇〇のコーピング」「仕事のストレスなら△△のコーピング」というように、様々な原因のあるストレスに、最も適したコーピングを知らなければならないのだ。

 例えばあなたが「イラっと」しても、その原因を追究し、その時の自分の思考を思い出し、身体がどう変化したか、その際に自分がどう行動したかなどを分析したことはないだろう。だが、自身の感じたストレスを「モニタリングすること」は、大切な第一歩。

 そこで、本書では、自分のストレスを知る7つのステップを紹介している。

 その「メモ」の方法がこちら。

(『折れない心がメモ1枚でできる コーピングのやさしい教科書』P47)

 例として、花子さんと太郎さんの2パターンが紹介されている。

 自分のストレス体験を「ストレッサー」(ストレスの原因となる環境、出来事、人物)と、それによって起こった「ストレス反応」≪認知≫≪気分・感情≫≪身体反応≫≪行動≫に細かく分け、できれば手書きで紙に書いてみるのがいいそうだ。

 このようにしてストレスを客観的に見てみることから、コーピングは始まる。

 さて、いよいよ「具体的なストレスへの対処法」についてだが、コーピングはいたって簡単。「この苦しさをなんとかしたい!」と思い、意図的に行動することなら、なんでもコーピングになり得る。たとえば、旅行に行く、妄想をする、ストレッチをする、ショッピングに行くなどなど……。「泣く」ことも、意図的に行えば「コーピング」と言えるとか。

 では、本書で掲載されている「ぜひ習得してほしい厳選コーピング」の一つをご紹介しよう。それは「頼れる人を≪サポートネットワーク≫で可視化」すること。

 人にとって、つらい時に話せる相手がいない、誰も自分を理解してくれないという「孤独」は耐えがたいもの。そこで、「いざとなったら頼れる人がいる」ということを「見える化」した「サポートネットワーク」を書いてみるのがいいそうだ。

(『折れない心がメモ1枚でできる コーピングのやさしい教科書』P99)

 これは親しい人だけで埋める必要はない。「質より量」を重視した方がいいので、「あいさつする花屋のご主人」でも、「飼い猫」でも、マンガのキャラクターでもいいのだ。もちろん、両親や友人など、本当に助けてくれそうな人もちゃんと書き出すこと。

 そして、これを普段から持ち歩き、「ストレスだな」と感じたら取り出し、眺めてみる。

「ネットワークを可視化することで、自分がたくさんのサポートに支えられている」ことに気づくという。当然、書き出した相手に実際に相談するのもいいが、「こういう人たちがいる」という「気づき」だけでも心が軽くなることもあるだろう。

 この他にも「≪自分のいいところ≫を見つける」「≪ポジティブなイメージ≫を用意しておく」といった厳選コーピングや、著者が「最強のコーピング」と称する「マインドフルネス」についても言及されている。

※注:実際のコーピングは、≪本書を読んだ後≫に行うことをおススメする。記事にするため要点をかいつまんだので、本書が紹介する「注意点」や「ポイント」まで触れていないからだ。ぜひ読んでもらい、しっかりとした知識のもとにコーピングを実践してほしい!

 本当に簡単なストレスへの対処ばかりが詰まっているので、むしろ「どうして今までやって来なかったんだろう?」と疑問に思ってしまうほど。悩んでいないで行動する「きっかけ」をくれたことを、感謝したい一冊だった。

文=雨野裾