絵画ってどうやって値段がつくの?“値段”で読み解くフランス近代絵画

暮らし

2017/5/14

 “値段”を切り口にした新しい絵画の見方を知ることで、絵画をより深く鑑賞する『「値段」で読み解く 魅惑のフランス近代絵画』が2017年5月1日(月)に発売された。

 2015年2月10日、ゴーギャンの油絵「いつ結婚するの」が史上最高額となる約3億ドル(当時の為替レート換算で約355億円)もの高値で落札され、世間の注目を集めた。もちろん高額で取引されているのはゴーギャンばかりではない。セザンヌやピカソ、モディリアーニなどの絵画も、それぞれ200億円以上の価格で売買されている。

 この4人はいずれも19世紀から20世紀にかけて活躍した画家であり、フランス近代にあって「芸術の都」と呼ばれたパリに居を構えていた。世界の芸術の中心地であり、数多くの画家たちが切磋琢磨する場所だったパリ。モネやルノワール、ゴーギャン、ゴッホ、マティス、ユトリロ、藤田嗣治、シャガールなど、パリを舞台に活躍したのは、いずれも綺羅星のような巨匠たちばかり。

 2度にわたる世界大戦で疲弊しきった人々は芸術作品に癒しを求め、芸術家たちもまた世間の要請に応えるように数多くの傑作を世に送り出す。これらフランス近代の作品群は、現代の絵画マーケットで高く評価されている。絵を描く人は近代以前にも数多くいたが、彼らは誰かの依頼で職業的に肖像画などの絵を描く「職人(アルチザン)」であり、今日私たちが「画家」という言葉を聞いてイメージするような、絵画を通じて自己表現を行う「芸術家(アーティスト)」という概念は、近代フランスにおいて誕生した。

 画家が職人として“制作”をしているのか、それとも芸術家として“表現”をしているのか。そのスタンスの違いは、成果物としての絵画にも大きな変化をもたらした。芸術作品である絵画を商品として売買することができるようになったのも、すべては19世紀後半のフランスにおける近代絵画の隆盛があった影響が大きい。フランス近代絵画は、現代におけるモダン・アートの源流であると同時に、絵画芸術のピークだった。

 ところが、いかに人気のある画家であっても、作品への評価は時代によって異なる。実はひとりの画家の低迷期から絶頂期まで、絵画の価格を見ればその人生の起伏を如実に読み解くことができる。そこで同書では、「値段」を切り口にした新しい絵画の見方を提案していく。

 絵画に値段が付く仕組みや、市場で評価される絵画の共通点、フランス近代絵画ならではの傾向…。これらを知ることで、絵画をより深く鑑賞することができるようになる。次に絵画作品を目にする際には、あなたの美術観も変化しているかもしれない。

髙橋芳郎(たかはし・よしろう)
株式会社ブリュッケ代表取締役。愛媛県出身。美術大学で彫刻を専攻する過程で、人々の生活に溶け込む平面表現の魅力に目覚め、絵画の世界へ転向。卒業後、都内の画廊での修行を経て、1990年に独立。東京・銀座に、故郷の秀峰の名を冠した「翠波画廊」をオープンさせる。以降26年の長きにわたり、ピカソ、マティス、藤田嗣治、ユトリロ、ローランサン等、絵画愛好家なら誰もが知っている巨匠の作品を数多く扱う。特に20世紀初頭に活躍したフランス近代の画家に造詣が深い。

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