夫の不倫を公認!「不倫モノ」のその先へ――新しい夫婦のカタチを描く『1122』

マンガ

更新日:2017/8/21

『1122』(渡辺ペコ/講談社)

 昨今、不倫モノはメディアを問わず大ブーム。あまりの多さに「もういいよ!」と思う人も多いはず。

 そもそも「不倫」モノは、80年代にレディースコミック台頭とともに常に書かれてきた古くて新しいテーマだ。激情したり、ダブル不倫に発展してさらにドロドロしたり…今も昔もお約束の展開だが、最近はある意味もっと恐ろしい。

 例えば、ドラマでも話題になった『あなたのことはそれほど』(いくえみ綾)は、不倫という事実を淡々と受けとめつつも、胸中、穏やかでない登場人物たちの心理描写、「不倫」がどのように生活や感情を蝕んでいくのかがリアルだった。

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 そして、現在『月刊モーニングtwo』に連載中の『1122』(渡辺ペコ)もまた新境地。セックスレスの夫婦の物語で、主人公・一子は夫の不倫を公認している。女性の性の問題に切り込み、家族のあり方の多様性を描く今日らしい作品だが、やはり割り切れない一子の感情の揺れが生々しい。不倫マンガに食傷気味の人も、本作は手にとるべき!

文=倉持佳代子