手塚治虫文化賞受賞で話題の『消えたママ友』。渡辺ペコさんと富永京子さんが語る「野原広子作品の魅力」とは?
『消えたママ友』(野原広子/KADOKAWA)
第25回手塚治虫文化賞短編賞の選考会で、もっとも支持を集めた『消えたママ友』(KADOKAWA)と、やはり評価の高かった『妻が口をきいてくれません』(集英社)の二作で受賞が決定した野原広子さん。かわいらしい絵柄で描かれる“ママ”たちの日常に、読者はどうしてこれほどまでに惹きつけられてしまうのか――? Twitter上で『消えたママ友』についてやりとりをかわしたのをきっかけに、マンガ家・渡辺ペコさんと社会学者・富永京子さんの対談が実現! 野原作品の魅力について語っていただきました。
(取材・文=立花もも)
――お二人が野原さんの作品に出会ったきっかけはなんだったのでしょう?
渡辺ペコさん(以下、渡辺):最初に読んだのは『離婚してもいいですか?』(KADOKAWA)だったと思います。絵柄がとても好みだったのと、「いいですか?」って問いかけるタイトルは流行でもありましたが、まんまと惹かれて手にとったんですよね。ただ読み終わったときは、けっこうしんどかった。主婦の主人公がどんなことに我慢し、抑圧を受け、つらい思…