他人と比べたとき、中流から下流へ――収入が増えない時代のコスパ最強の金銭感覚とは

暮らし

2017/11/2

 世界の幸福学に影響を与え、「NYタイムズ」紙で話題のお金の話をまとめた『幸せとお金の経済学』が、2017年10月21日(土)に発売された。

「お金で買えない価値がある」という言葉には納得するものの、やはり「お金が欲しい」「できれば贅沢な暮らしがしたい」というのが人情。これは決して恥ずべき感情ではなく、動物としてヒトのDNAに刻み込まれたごく自然な欲求だ。

 しかし、未曾有の格差が生まれているアメリカのような社会、とりわけ中間所得層において、こうした欲求が無益な地位獲得競争を招き、経済的損失を生み出しているとしたら…? 同書は、そのような経済的損失を生み出す理由を追求。人びとが「非地位財」よりも「地位財」を追求することで、経済的損失がもたらされると警鐘を鳴らしている。

・「地位財」=他人との比較優位によってはじめて価値の生まれるもの。幸福の持続性[低]
(例:所得、社会的地位、教育費、車や家などの物的財)

・「非地位財」=他人が何を持っているかどうかとは関係なく、それ自体に価値があり喜びを得ることができるもの。幸福の持続性[高]
(例:休暇、愛情、健康、自由、自主性、社会への帰属意識、良質な環境など)

 非常にシンプルながら、今までの経済学では語られなかった“お金の新概念”への理解が、中間所得層の消費活動へ与える影響は少なくないはず。日本はアメリカほどではないにしろ、確実に格差が広がっているのが現状。2017年、企業の内部留保は過去最高を記録しながらも、実質賃金は低下しているという報道をどのように捉えるべきかは識者の意見が分かれるところ。しかし、いずれにせよ状況がアメリカ社会に近づいていることは間違いないといえそうだ。

 自分は「中間所得層」だと安心している人も、それが錯覚だったと気づく時が来ないとも限らない。同書を読んで経済的損失を回避し、幸福度を高める生き方を学んでみてはいかが?

ロバート・H・フランク
H.J.ルイス講座教授(経営学)。コーネル大学ジョンソンスクール経済学教授。ニューヨーク州イサカ在住。ニューヨーク・タイムズ紙では10年以上にわたり経済コラムを執筆。著書に『ウィナー・テイク・オール』(共著)、『日常の疑問を経済学で考える』などがある。

金森重樹(かなもり・しげき)
1970年生まれ。東京大学法学部卒。ビジネスプロデューサー。不動産投資顧問業・株式会社金森実業代表取締役。25歳のときに1億2,000万円の借金を負う。マーケティングの技術を活用して35歳で借金を完済し、行政書士として脱サラ。その後は不動産、建設、ホテルチェーン、医療法人、福祉事業などグループ年商100億円の企業グループのオーナーとして活動中。26万部を突破した『自分の小さな「箱」から脱出する方法』など、数多くの本を監修・監訳している。

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