マンガでマンガを学ぶ! 読み応え充分の画期的な入門書

マンガ

公開日:2018/1/6

『まんがでわかる まんがの歴史』
大塚英志:作 ひらりん:まんが
KADOKAWA

 現在ではマンガ研究本が多数出版されているが、それらをマンガで解説する本はこれまでほぼなかった。大塚英志の『まんがでわかるまんがの歴史』はマンガの歴史をマンガで展開した画期的な一冊である。

 本書は「学習マンガ」の様式になぞらえ、「博士」的な立場の大塚と助手をつとめる猫「マンネコ」の2つのキャラにより、マンガがいかに成立してきたかを解き明かす内容。サブカルチャー研究の第一人者・大塚ならではの肉厚な研究成果が下敷きとなっているので読み応えたっぷりだ。

 また、1月にはこうの史代の『ギガタウン─漫符図譜─』が単行本化される。鳥獣人物戯画から着想を得たキャラ達の日常生活を描く4コママンガだが、一話ごとにマンガ特有の記号表現をテーマに、その意味を解説してくれる。辞書的な役割とマンガ作品としての面白さが両立していて、これもまた今までになかった。

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 マンガをマンガで解説する試みはこれからも広がり、この分野における研究の導入として必読の書になるだろう。

文=倉持佳代子