わたしたちは彼に“感染”している 「星野源と、思考。」特集

特集番外編1

2018/11/8

わたしたちは彼に“感染”している 「星野源と、思考。」特集

編集M

 今月号の『ダ・ヴィンチ』は、12月19日に3年ぶりニューアルバム『POP VIRUS』をリリースする星野源さんの大特集!

「星野源と、思考。」と題し、全32ページにわたり誌面記事を組ませていただきました!(&表紙も星野さんに飾っていただきました)

 特集番外編では、タイトルの「思考」についてお話しさせていただけましたら幸いです。

 振り返れば、わたくし、『ダ・ヴィンチ』編集部に来て7年目、ありがたいことに星野さんと一緒にお仕事させていただき早6年でございまして。連載&書籍『いのちの車窓から』や、また過去2度にわたり「文筆」をキーワードに弊誌で特集を製作&担当させていただいてまいりました。

 そのうえで今号の特集では文筆家としてだけでなく、<人物をつたえるということ>を深く掘り下げる、原点回帰を目指した『ダ・ヴィンチ』らしい誌面にしたいという気持ちが強くありました。
ですので、6年目突入だからこそのいま、それがようやく出来るようにも感じ、「星野源さんってこういう人です!」をキャッチで打ち出し、それを軸に企画展開していきたい!と悶々とテーマ(タイトル)を考えておりました。

 さて、<星野源という人は、ずっと考え続けている人ではないか??>と、思っていました。
お仕事をご一緒したり、星野さんとお話しすると「そんなところまで考えているんですか??どこでそれを知ったんです??」と驚くことばかりなのです。

 圧倒的に努力されていながら、また人を動かすことに対しても、大きな責任感を持ってらっしゃる。これだけ人気を得ても、真ん中にいても、全然その姿勢はブレずに変わらない。

 仕事において、日々考え続ける・考え抜くことって、楽しさもある一方、しんどい作業でもあると感じています。

 雑誌ひとつ誌面を作るにも、キャリアや常識が思考をストップさせる瞬間が、あります。労働時間には制限があるし、焼き直しの定型で流すこともある。また多数の忖度や覚悟のなさで躊躇し、諦めることもある。“自分の頭の中にあるもの”を形にするため言語化し、人に伝えることも至極大変で、面倒になるときすらある。(つい最近も、担当作家へのメール文の作製に5時間かかった……)

 星野さんとのお仕事では、そういう“思考停止感”がありません。逆に刺激的で、鮮やかなアイデアをもらえて、星野源という人に感染するように、気づけば本気で頑張っている自分がいる。その結果、必ず大きな反響をもらい、自分の枠を超えるお仕事になり、その後の自身の仕事に跳ね返ってくる。

 あ~~そういうところを、伝えられたらなぁ……。

 そんな風に思っていた、アルバムのタイトルも内容も知らない、今夏の8月20日。『アイデア』が配信限定リリースされました。

 MVを拝見し私は、その「全て」のすばらしさに高揚し、感動していました。『アイデア』という作品は、全方向において「星野さんの思考の塊」のようにも感じたのです。

 星野さんの表現=ものづくりとは、彼の止むことのない思考のその凄みにあるのではないか。そしてその姿勢を続けることこそが、アップデートしていくことであり、彼の音楽家、俳優、文筆家としての生き様なのではないのか。
『アイデア』を聴きながら、「星野源と、思考。」というテーマが頭の中にポンと浮かびました。

 その後、特集を立案しつつ、その「思考の凄み」の仮説の裏付けをとるべく、星野さんと共に仕事をし、彼の思考を浴びてこられたであろう関係者様へ星野さんとのお仕事の軌跡について、お話しを伺いにいきました。

 雑誌の企画は、主に編集者の客観的であり主観でもある思考で成立していますが、特に人物に対する記事を出す際は、ひとりよがりではいけない、と私は考えています。

 ですから出来るだけ幅広いジャンルの彼の周囲の人に会いに行き、その凄みを確認し確信していきたい、と「星野源の思考の跡。」と題したインタビュー取材を敢行いたしました(書面含む)。

そこで真摯に語ってくださった(ホントに皆さま素敵で、依頼した全員がご快諾くださった)言葉の数々からは、星野源の思考力と仕事への姿勢、また星野源という人自身の魅力がみえてくると思います(愛されているなぁとしみじみ)。

 出来るだけ頂戴した言葉を盛り込みたい!!と気合いが入り過ぎて、文字の級数が小さくなってしまったのです……が(苦笑)、ぜひご覧になってくださいますと嬉しいです。私は仕事に迷ったとき、頑張りたいとき、読み返したい記事になりました。

 ちなみに……! 今回特集作業時に関しての「思考の跡。」を語らせていただけるなら、改めて思ったことに「仕事と人に対する誠実さ」をあげたいです。

 例えば、あるページの記事でのやりとりで、私が書いたひとつの言葉(※しかも圧倒的に私の間違いである)に関し星野さんからメールをいただいたとき――

「こういう理由でこう思いました、いかがでしょうか?」ときちんと意見を言語化されたわかりやすいメールをいただく(丁寧)。

 それに対し、「なるほど! 助かりました。ありがとうございます、訂正します」と返信。

 すると「ありがとう! 動いてくれて嬉しいです」と、さらに前提を気遣う言葉をくれる。

 いやいやいや、こちらこそです!と思う。

……星野さん、アルバム絶賛制作中の真っただ中にこれをやってくれていたのです。一雑誌の特集にも関わらず、こうやって真摯に作業くださるので、いつも星野さんとの仕事には、ともに作っている感覚が強くなるのです(吉田ユニさんのインタビュー記事に激しくうなずく)。これが、うれしくて楽しくて。

 実は、特集作業中におおよそアルバムの発売日が12月19日に決まり、それでも弊誌は変わらず11月6日発売号で特集製作を走らせていただいておりました。

 というのも、12月は弊誌では毎年恒例、その年の本の総括である「ブック・オブ・ザ・イヤー特集」が控えているため、12月発売号では特集が組めなかったのです。

 本当に好きに企画を作らせていただいておりましたが、だんだんそこに対して不安になりつつ「果たしてアルバムの応援にこの特集はなっているのか……??」と狼狽している編集者に、星野さんは「大丈夫、大丈夫」と笑いながら、アルバム製作最中の大事な時期にも関わらず、取材や撮影を3日に分けて受けてくださったのでした。

 また、この特集を時期も含めて快諾してくださり、スケジュールや撮影に調整・協力してくださった、周囲のスタッフの皆さまにも感謝しかないです。

 そして新作書き下ろし「いのちの車窓から」は、撮影合間にぬるりと通常の連載の倍の文字数4000文字を依頼してしまい、「400ワードでしたよね!?レコードのレコメンド的な」「桁が違いますし、うちにそんな枠はありません!」とやりとりしながらも(笑)、とても素晴らしい原稿を頂戴しました。ANNでも少しお話しくださいましたが、ぜひ読んでください。ああ、私はこれが読みたかったんだ、とじわりと込み上げてきた久しぶりの「いのちの車窓から」です。

 そしてそして、『いのちの車窓から』読書感想文、ご応募いただきました皆様本当にありがとうございました!! 頂戴しました約900通、すべて拝読させていただきました。本当に温かく、力強いお言葉を戴き、胸が熱くなるばかりでございました。

 ほか(もう語り切れない)、ロングインタビュー、グラビア、マンガ家・作家13名による豪華寄稿企画、米澤穂信さんとの対談記事など、まさに企画満載な大ボリュームでお届けしております。改めて、この場をお借りしまして取材やご寄稿にご協力くださいました皆様、ありがとうございました。大好きな特集誌面になりました。

 扉のリードにも書きましたが、星野源さんの思考が“詰まった”アイデアは、世界を喜びに変えると思います。彼が作り続ける音楽、演じる映像、文筆家として紡ぐ文字、パーソナリティを務めるラジオ、その全方向において。
さらにアップデートされた星野さんの「思考の塊」となっているであろう、ニューアルバム『POP VIRUS』もぜひお手に取ってくだされば幸いです。今回の特集記事で、わずかでもその機会を作れたとしたら、とても光栄に思います。

 そして今号を製作するにあたり、何より私が思考停止してはならぬ~、と大変気合いを入れて撮影コンセプトやデザイン、取材原稿の全企画に取り組ませていただいておりました。出来上がった誌面をめくりながら、またひとつ、雑誌編集として枠を超えられたようにも思います。

 私と同じように、星野さんの思考がたくさんの読者の刺激となり、思考そのものに“感染”してくだされば、とこっそり願っています。アイデアはすべて越えていける、と思います。