「ようやく本が出たんだなという実感を持つことができました」森見登美彦氏が登場! ブックラブ読書会レポート

文芸・カルチャー

更新日:2020/9/24

 去る8月29日、この夏の話題作・森見登美彦さんの新刊『四畳半タイムマシンブルース』をめぐるオンライン読書会が開催された。読書会コミュニティ「ブックラブ」(運営:株式会社KADOKAWA)が主催した会には、10代から50代まで幅広い世代の男女が全国から100名以上参加。著者の森見さんも交え、熱く盛り上がった会の模様をお伝えしよう。

第一部:森見登美彦さんのトークセッション

 プログラムの最初は著者の森見登美彦さんによるトークセッションから。聞き手は担当編集の文芸単行本編集一課の編集長・小林 順がつとめた。奈良のご自宅からのオンライン参加に、最初こそ「不思議な感じ」と戸惑った様子の森見さんだったが、気心の知れた小林のリードで次第にリラックス。「コロナでいつもと違う夏になった中で刊行されたのは偶然ですが、こんなときだからうれしいという声も聞きます」という小林に、「作中に出てくる京都の夏の行事がなくなってしまったのは残念ですが、小説の中で体験してもらうことができたと考えたらよかった」と笑顔をみせた。

森見登美彦氏
これが初めてのオンラインイベントという森見さん

進行役の小林は『夜は短かし歩けよ乙女』からずっと森見さんを担当してきた
進行役の小林は『夜は短かし歩けよ乙女』からずっと森見さんを担当してきた

 今回の『四畳半タイムマシンブルース』は森見さんの初期人気作『四畳半神話大系』に上田誠さんが作・演出を手がける劇団ヨーロッパ企画の舞台「サマータイムマシン・ブルース」を“悪魔合体”させたというもの。「ヨーロッパ企画は人間じゃなくて状況が主人公。小説はどうしても一人称や、あっても2、3人の視点になるので、舞台の面白さをそのまま小説で再現しようとしても難しい」と、小説ならではの展開にかなり苦心したという森見さん。さらに魅力を増したキャラクターたちについては、「続編を書いたというよりは、確立されたキャラクターを〈役者〉として使うという感覚」と語った。そのほか、アニメの影響やタイトル決定までの試行錯誤、中村佑介さんによるカバーイラストの謎解きなどファンにはたまらない裏話も。参加者もチャットで大いに盛り上がりつつ、あっという間に予定の30分が終了した。

森見登美彦氏
トークイベント中は参加者もチャットで反応。イベントに一体感が増す

第二部:読書会

 休憩をはさんで、4~5名のグループに分かれて30分の読書会がスタート。3つのトークテーマ「自己紹介(名前、住まい、職業)」「作品の印象に残ったところ、または好きなところ」「登場人物は誰がお気に入り?」について順番に発表し、その後は自由に語り合っていくスタイルで進められた。ちなみに司会進行も参加者がつとめるルールだが、今回は「グループで一番髪の短い人」が担当することになった。

 グルーピングは事務局が担当し、参加者は自動的にグループの部屋にふりわけられる。世代も職業もバラバラのメンバーに最初こそ緊張ぎみのグループもあったが、やはり「好きなものが一緒!」の連帯感は強い。あっという間に和気藹々と盛り上がり、口々に「四畳半愛」「森見作品愛」を語り合っていた。

 実は途中、森見さん自身がいくつかのルームにちょっとずつ顔を出すという大きなサプライズも。森見さんが入室した途端、どのグループも驚きのあまり会話が止まってしまい「緊張してます。夢のよう」「感動です」と大興奮。それでも「5人中3人が明石さん推しです」「ここは小津好きが集まってます」と森見さんに報告するグループや、短い時間の中、直接質問ができたラッキーな参加者もいた。

 読書会を終えて、「グループからグループに飛ばされていくのが不思議な感覚でした。質問の途中で移動してしまったりしたのは申し訳なかったけれど、森見登美彦のまぼろしがしゃーっと消えていく映画みたいでしたね」と森見さんも楽しそうに感想を語っていた。

森見登美彦氏読書会
読書会のルームに森見さんが訪れ緊張する参加者たち。短時間ながら森見さんとつながった喜びは格別だ

第三部:質疑応答コーナー

 最後は事前に参加者から寄せられた質問に森見さんが答えていく質疑応答コーナー。抽選で選ばれたという質問は、作品のことからプライベートのことまで多岐にわたった。

Q:小説を書きたくなる瞬間は?

――基本的には朝。夜は書かないんです。

Q:執筆中、一番楽しいのはどういう場面を書いているとき?

――うさんくさいホラ話。

Q:さあ、やるぞ!と始めるためのルーティンは?

――丸福珈琲を飲みます。

 …などなど、テンポよく次々と質問に答えていく森見さん。お気に入りの作品やキャラクター、気になる次回作の話なども飛び出し、短い時間ながら作家・森見登美彦の素顔が垣間見える貴重な時間に参加者たちも大満足だった。

 最後に「コロナのためにサイン会とかもまったくできなかったので、こういう機会は大変ありがたいことでした。ようやく本が出たんだなという実感を持つことができました」と森見さんがご挨拶。参加者全員で記念写真も撮り、イベントは無事終了した。

森見登美彦氏読書会
最後に、記念撮影!

 今後もさまざまなイベントや読書会が予定されているそう。同好の士たちと語らう場は現在の世間の状況下では、貴重な機会かも。今後のイベントも楽しみだ。

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