「ジョジョ」荒木飛呂彦&尾上菊之助の異色対談が実現!

アニメ・マンガ

2012/7/8

 『ダ・ヴィンチ』8月号では、今年連載25周年を迎えるマンガ「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズを大特集。なかでも注目が、マンガ家・荒木飛呂彦と歌舞伎役者・尾上菊之助の異色対談だ。表現手法の全く異なるクリエイターのお2人に、互いの内に宿る「JAPAN」について語り合っていただいた。

尾上: JOJOで強く印象に残っているのは、ルーヴル美術館には1日平均4万人が見に来るっていう話がありましたよね。作品の中に作家たちの魂が貯蔵されていて、それを見るためにみんなやって来るんだ、と。

荒木: それは結構、最近の話ですね。何部だったかな?

――6部ですね。プッチ神父とディオの対話で登場するエピソードです。優れた芸術作品は、「まるで時空を越えた“スタンド”だ」と。

尾上: ええ。スタンド、キャラクターを、そこで僕らは見ているんだと思うんですよ。例えばミロのヴィーナスは、あの柔らかい体の形が当時の身体意識の表れであり、その身体意識にみんなが引きつけられるんだと思うんですよね。歌舞伎が400年続いてきたのもおそらく、優れた原作者・演者の持っている爆発的な身体能力が観客をうならせてきたからだと思うんです。マンガ家さんも同じじゃないでしょうか。マンガのキャラクターに読者たちが憧れたりするのは、キャラクターを通して描かれる身体意識に憧れているんじゃないかと思うんですよ。

荒木: 僕は絵を描く時に、正中線(頭から縦にまっすぐ走る線)は大切にします。どこが真ん中だとか、左右対称にするだとか。そこを大事にしたうえで、さらにぐっとひねったのが僕の絵なんです。普通の身体意識とはちょっと違うリアリティを入れることで、キャラクター性とファッション性と、ファンタジー性が出てくるんですよ。

尾上:そうですよね! 僕も当時、JOJOの体の動きをマネしたくなりました(笑)。歌舞伎で言う「見得」にも似ています。

荒木: そうかもしれないですね。ただ、僕としては再現できない絵を描いてるのに、それをファンの人たちは実際にやるからびっくりするんです。「ジョジョ立ち」っていうんですけど(笑)。

尾上: すごく面白い現象ですね。現実が、想像に追いついてきている。

荒木: 歌舞伎ですごいと思うのは、ひとりの役者が男→女、女→男へと一瞬のうちに入れ替わりますよね。テクニックとしてまず、なんで女の人になれるのかがわからない。何か決まりごとがあるんですか?

尾上: 先輩方のお教え、日本舞踊を基本とする身体使いからアプローチします。そして男は骨格を強調し、骨を利かし、女を演じるときは骨がないように、骨を液体化させるようにしています。

荒木: それは代々受け継がれてきた決まりごとですか?

尾上: いえ、人それぞれなんですが、私は、身体意識を研究されている方に教えていただいて、取り入れています。舞台に立つときは、骨格と身体意識を大事に取り組んでいます。

荒木: 面白いなあ。

尾上: 現代を生きる私は、先人たちから受け継いだものを「お前はどう活かすんだ?」と常に問いかけられている気がします。

取材・文=吉田大助
(ダ・ヴィンチ8月号「『ジョジョの奇妙な冒険』連載25周年 JOJO=JAPAN」特集より)