読者&書評家が選んだ「怪談オブザイヤー2012」発表!

エンタメ

2013/2/20

 2012年は近年に増して多くの怪談作品が発表された、ファンには堪らない1年であった。『ダ・ヴィンチ』3月号では、2012年1月から12月までに刊行された怪談本の中から、もっとも面白かった怪談本を決める「怪談オブザイヤー」の結果を発表している。

 一般読者と書評家(朝宮運河、小池啓介、東雲騎人、千街晶之、中島晶也、長山靖生、土方正志、星野 智、門賀美央子、)にアンケートを実施し、印象に残った3冊を投票してもらい、2012年のベスト10を決定している。その中から上位3冊をコメントとともに紹介しよう。

【第1位】小野不由美『残穢』(新潮社)。
著者9年ぶりとなる書下ろし長編。『このミステリーがすごい!』などミステリー誌などで高評価を得た本格ホラー作品。「怪談文化の根幹である「ケガレ」を巡る考察が断片的な怪談群を繋いでいくと、近代日本を縦横に貫き祟る巨大な因縁が姿を現す。著者の論理的性向とジャンルの特性が理想的な形で結びついた、究極の怪談論にして怪談小説」(中島晶也・書評家)「同時発売の『鬼談百景』とともに著者積年の〈怪談実話趣味〉が見事に結実した傑作。マンションの一室で起こった怪現象が、近代史の裏面、日本人の死生観へと繋がってゆく。「恐怖」への真摯な姿勢に打たれた」(朝宮運河・書評家)

【第2位】小野不由美『鬼談百景』(メディアファクトリー)。
第1位の『残穢』と同時発売。両作品をリンクさせた仕掛けが話題を呼んだ。 「どの話も本当にありそうで怖かった。また、『悪夢の棲む家』の過去の事件を下敷きにしたと思しき話が収録されていて、「ゴーストハント」ファンとしては思わずニヤリ」(40歳・男性)「怖い話だけでなく、不思議な話、何気ない話も織り込まれながら淡々と続く中でひたひたとした怖さを感じる本でした」(26歳・女性)

【第3位】京極夏彦『眩談』(メディアファクトリー)。
「 」談シリーズ第3弾。京極小説の本領を味わうことができる短編集。「『幽談』『冥談』と書き継がれてきた本シリーズも、ここに来て〈メタ怪談〉の目論見をさらに明瞭にさせてきたようだ。怪談の領海水域をさぐる試みとして、今後も注目してゆきたい。いつもながら文章も素晴らしい」(朝宮運河・書評家)「怪談を書かせたら右に出るものなし。圧倒的な筆力と美しい日本語のチョイス」(48歳・女性)

 本誌では2012年を代表する怪談本10位までを発表している。いずれも名作が揃っているので、ふだん怪談本を読まない方もぜひ手にとってみてはいかがだろうか。

ダ・ヴィンチ3月号 幽・怪談通信より)