「晴れ」の定義は? 「雨か雪」「雪か雨」のちがいは? 雑談で武器になる天気の話

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公開日:2022/12/5

もっと話がおもしろくなる 教養としての気象と天気
もっと話がおもしろくなる 教養としての気象と天気』(金子大輔/WAVE出版)

 当たり障りない雑談としてよく使われる、天気の話。初対面で共通の話題がなくても、今日の天気の話なら誰とでもできる。しかし「今日はいい天気ですね」「そうですね」のあとがどうにも広がらない……と困ったことはないだろうか。

 こんなとき「“晴れ”かどうかは、人が目視で雲の量を見て判断しているんですよ」なんて一言付け加えられたらどうだろう。ちょっと面白い話を聞けた、と相手を喜ばせることができるかもしれない。つまり、気象・天気に詳しいということは、会話の鉄板ネタを手に入れたも同然なのだ!

 そんな雑談にピッタリな天気にまつわるウンチクを教えてくれるのが『もっと話がおもしろくなる 教養としての気象と天気』(金子大輔/WAVE出版)。天気の基本知識から、思わず人に話したくなる小ネタまで知ることができる。その中から、個人的に気になった「これは人に教えたい!」と思ったネタを3つ紹介しよう。

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「晴れ」ってどんな状態?

「晴れ」とはどんな状態かご存じだろうか。

「そういえば分からないなぁ」

 そう思った人は少なくないはず。実は、気象学では「雲量が2~8のとき」と定義されている。雲量とは、空全体が雲に覆われている状態を10としたとき、どれだけの雲で覆われているかという基準。雲が少なく、0~1の場合は「快晴」。9~10は「曇り」。その間が「晴れ」だ。意外にも晴れの判定は甘くなっているのだな、と感じてしまう。

 日本では「晴れ」をはじめ、21種類の天気が定められている。だが世界気象機関(WMO)の国際基準では、その数100。国際基準の天気記号は、雨の強弱や1時間で変化があったかどうかなど、表現する要素が細かく分かりにくいため、日本では簡易化したものを採用しているそうだ。

「雨か雪」「雪か雨」のちがいって?

 天気予報で「今夜は雨か雪になるでしょう」あるいは「雪か雨になるでしょう」と耳にすることがある。実はこれ、可能性の高低により使い分けられているそうだ。雨と雪のどちらも降る可能性があるが、雨の方がより可能性が高いときに「雨か雪」が用いられる。

 雨か雪かが変わるポイントは地上の気温。3度以下になるかどうかで変わるのだとか。最終的にどちらになるかはその時・その場所の湿度・風速なども関わるため、判断が難しい。そのため、微妙な気温になりやすい春先や晩秋に「雨か雪」「雪か雨」がよく使われるのだ。同じ関東でも都市部と山地では気温がちがうため「雨か雪」予報の時に移動してみると、新宿では雨なのに奥多摩では雪かきをしているということもありえるそう。

ビジネスに役立つお天気情報

 気象に関する情報は、ビジネスでも重宝される。2割くらいの雲が出ている空をバックにCMを撮影したいと思っても、普通の天気予報ではそこまで分からない。このような場合に気象会社のオーダーメイド予報が使われるという。顧客のニーズに合わせて、きめ細かくピンポイントで予報をしてくれるのだ。

 小売業では、仕入れの量を判断するのにオーダーメイド予報を使う。気温によってホットコーヒーとアイスコーヒーのどちらを多く用意すべきか分かるし、にわか雨の予報が出ていれば、傘を持っていない人を狙ってビニール傘を多めに陳列することもできる。天気や気温の変化に注目することで、ビジネスのアイディアが生まれそうだ。

 本書の巻末には、「ゲリラ豪雪」「オーバーシュート」など、これからの天気ニュースで話題になるかもしれない気象用語が10個紹介されている。気象予報士である著者の金子大輔氏が、今後起こり得る気象を予測して選んでいるので、先取りして覚えておけば、話のタネになるはずだ。

 誰でもできる天気の話だからこそ、人とちがう知識を持っていると強く印象に残りやすい。武器の一つとして、気象や天気の話を学んでみてはいかがだろうか。

文=冴島友貴

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