「みぎはスプーンをもつ手」でOK? 人気絵本の続編で、右と左の間違いに子どもが共感
公開日:2022/12/14

あのチャーミングな家来たちが帰ってきた! 2018年に刊行されてから9万部売れたというヒット絵本『おうさまがかえってくる100びょうまえ!』(柏原佳世子/えほんの杜)の続編が登場しました。
前作は「100まで数えているうちに、いつの間にか読み終わっている」という内容で、子どもが100までの数を覚え、暗唱できる楽しみがありました。最新作『おうさまのまえで みぎむけーみぎ!』(柏原佳世子/KADOKAWA)で題材になっているのは、“みぎひだり”。
前作の家来たちが再び登場し、彼らが右と左を覚えていくアプローチを見ることができます。もちろん、前作を読んでいなくても楽しめますよ。

家来たちは、王様のお誕生日会に披露する特別な挨拶の練習をすることになりました。リーダーの号令にあわせて「右を向いて、左を向いて、王様に敬礼」という流れを練習するのですが…。

リーダーが「右向け右」をすると、7人の家来たちは大変なことに…! 左を向いていたり、どっちを向いたらいいのかわからない家来がいたり。右を向いている家来も、本当にわかっているのかどうか怪しいところ。
作者・柏原佳世子さんが描く絵や色使いには独特の味わいがあり、外国の絵本のよう。格式高い王室のお話かと思いきや、親しみやすい家来たちが登場してグッと心を掴まれます。
真っ赤な丸いほっぺや愛嬌のある表情は一度見たら忘れられず、前作を読んだ子は「見たことある!」とすぐに思い出すかもしれません。

リーダーは工夫を凝らし、家来たちに「右と左の区別の仕方」を教えていきます。読み進めていくと、右と左を間違える家来たちは、あたかも我が子を見ているよう。子どもと同じようなところで、右と左を間違えるからです。
そう考えると、彼らの構図は、私たち大人がリーダーで、子どもたちが家来、という風にも見えてきます。
右と左を覚えるのは大事なことだけど、それを教えるのは難しいですよね。だからこそ、「右と左の“間違え方”がわかりやすく描かれている」点が、本書のいいところだと感じます。
「怒られる家来たち」に子どもが共感
6歳の息子にも絵本の感想を聞くと、「家来たちが怒られているのが面白い」とのこと。自分と同じように注意される家来たちに、親しみを感じているのでしょうか。
かっこいいヒーローではなく、等身大の自分を見ているような家来たちに「また間違えちゃって~」とツッコミを入れながら、みぎひだりの考え方を学べるのが本書の大きな特徴。親子で「こうしたら間違えないで済むかもね」というお話をしながら、家来たちを反面教師にして、右と左の区別がわかるようになるかも!?
愛さずにはいられないポンコツな家来たちの新しい物語は、シンプルですが、奥深さを感じる絵本でした。親子でツッコミながら読んでみることをおすすめします!
文=吉田あき
■書誌情報
『おうさまのまえで みぎむけーみぎ!』KADOKAWA
https://yomeruba.com/product/ehon/322208000233.html