サバゲー好きサラリーマンが会社終わりに異世界を救う!『異世界召喚おじさんの銃無双ライフ』

マンガ

公開日:2022/12/15

異世界召喚おじさんの銃無双ライフ ~サバゲー好きサラリーマンは会社終わりに異世界へ直帰する~
異世界召喚おじさんの銃無双ライフ ~サバゲー好きサラリーマンは会社終わりに異世界へ直帰する~』(森尾正博/芳文社)

 サラリーマン・古賀大介が直帰するのは……異世界! 彼はそこでサバゲー(サバイバルゲーム)のスキルを生かして無双する。

 このたび発売になったのは『異世界召喚おじさんの銃無双ライフ ~サバゲー好きサラリーマンは会社終わりに異世界へ直帰する~』(森尾正博/芳文社)。本作はタイトルで分かるとおり異世界召喚ものだ。ただし内容はかなり斬新である。主人公・古賀はいわゆるサラリーマンだが、ある日から生活が一変した。彼は会社できっちり働いてから異世界へ向かい、戦って元の世界に戻って来てまた普通に会社へ行くようになったのだ。

 そして舞台は剣と魔法の世界なのだが、そこでサラリーマン勇者の武器はその世界には異質な“銃”、なのである。

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異世界を無双する召喚勇者は……不惑のサラリーマン!

 古賀大介は40歳、つまり“不惑”となった誕生日に趣味のサバゲーを楽しんでいた。そのときにふと「私は自分の事ばかりだったな」との思いにかられる。なぜなら独身仲間だった友人が「誰かのために生きるのもいいもんだ」と結婚を決めた話を聞いたばかりだったからだ。

異世界召喚おじさんの銃無双ライフ ~サバゲー好きサラリーマンは会社終わりに異世界へ直帰する~ P6

 そんな古賀はサバゲーの最中いきなり霧に包まれ、気が付くとサバゲー場ではないどこかに転移していた。そこはモンスターが闊歩する異世界であった。彼の前に、この世界の“監視者”を名乗るクリムという少女が現れる。彼女は古賀がもつサバゲーの戦闘スキルと他人への優しさを認め、この世界の困っている者たちを助けてもらうために召喚したという。自分がやっていたのは遊びの戦いで……と謙遜する古賀にクリムはこう告げた。

あなたの強さは本物です
それは単に戦闘能力だけでなく決して悪に屈しない芯の強さ
そして何より困っている者を放っておけない慈愛の心

異世界召喚おじさんの銃無双ライフ ~サバゲー好きサラリーマンは会社終わりに異世界へ直帰する~ P40

 クリムはこの世界と古賀の部屋とをつなぎ、サラリーマンとしての日常をそのままにしつつ、異世界へ気軽に通えるようにしてくれた。そして彼にある力を授ける。

 それが「異世界限定でサバゲー用のエアガンを本物の銃にもできる能力」だった。

 古賀には射撃の正確性に加えて、周りに一目置かれるサバゲーの腕前とマニアックな銃の知識があった。異世界から自宅につなげた次元トンネルに手を伸ばし、モンスターや状況に合わせたエアガンを取り寄せて相手を確実にしとめていく。こうして彼は趣味のスキルを生かして“無双”し始める。

異世界召喚おじさんの銃無双ライフ ~サバゲー好きサラリーマンは会社終わりに異世界へ直帰する~ P26

 彼は異世界で出会った剣士・レナと仲間になって旅に出た。ただ職業はサラリーマン=会社員のままで。

ちょっと笑えて共感できる、コツコツ実績を積み上げる主人公

 本作は監視者・クリムが世界を救うため、必死に古賀を召喚したところから始まるシリアスな物語だ。しかし全体的には不思議なおかしみがある要素がちりばめられている。

 たとえば彼の会社の名刺が魔力を帯びて、異世界と古賀の部屋をつなぐ鍵になる設定も笑えるし、会社の退勤後、当たり前のようにネクタイをしたまま異世界の戦いに向かうところなど「スポーツジムに行くんかい!」と思わずツッコミをいれてしまう。

異世界召喚おじさんの銃無双ライフ ~サバゲー好きサラリーマンは会社終わりに異世界へ直帰する~ P44

 そして銃の情報がバトルのキーになっているのもポイントだ。前述のとおり、エアガンのモデルになっている実在する銃を使い分けるのだが、古賀はそれぞれの銃のスペックを駆使して戦うのだ。一部を紹介すると、複数人がかりでないと勝てないとされる素早いガーゴイルに使ったのが「グロック17」。これは銃本体にプラスチックが多用されて軽量のため、取り回しが良くガーゴイルの動きに即座に反応でき、見事にこれを撃ち倒した。

異世界召喚おじさんの銃無双ライフ ~サバゲー好きサラリーマンは会社終わりに異世界へ直帰する~ P24

 また、穴をあける程度では再生してしまうマンイーターを倒したのは「フランキ・スパス12」。軍でも使用される自動式散弾銃で、12ゲージの大口径で無数の弾丸を発射し、近距離なら点でなく面で対象物を壊崩させられる。さらに古賀の魔法は弾をゴム弾にすることもできるため、モンスター以外の敵は殺さずに倒すこともできるのだ。

異世界召喚おじさんの銃無双ライフ ~サバゲー好きサラリーマンは会社終わりに異世界へ直帰する~ P67

 一足飛びに「世界を救う!」というより、古賀は困っている人や目の前の横暴・暴力を放っておけず、年齢通り“惑わず”コツコツと助けていく。(めっぽう強いが)堅実で派手さはなく、会社であれば評価もされにくく昇進もしにくかったりして……。ただ、これぞ日本の真面目なサラリーマンそのものではないか。召喚勇者としては少々地味なのかもしれないが、これが本作の、そして主人公の魅力である。

 多彩な実銃を使い分けるガンマンかつサラリーマン勇者が活躍する、一風変わった異世界召喚ストーリー。ぜひ読んでほしい。

文=古林恭

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