約560ページもある「SPI3」対策本! 内定率96%を誇る就活塾による決定版

ビジネス

更新日:2023/3/9

2025年度 驚異の内定率96%の就活塾が教える Edgey式SPI3 対策決定版
2025年度 驚異の内定率96%の就活塾が教える Edgey式SPI3 対策決定版』(就活アカデミーEdgey(著)、内藤寅之助(監修)/KADOKAWA)

 本書『2025年度 驚異の内定率96%の就活塾が教える Edgey式SPI3 対策決定版』(KADOKAWA)を手に取ってみて驚いたのは、その分厚さだ。約560ページ。ためしにAmazonで「SPI」と打ち込み、トップに表示される本のデータをいろいろと見てみたものの、本書のページ数をしのぐ本は、その中にはひとつもなかった。

 もちろん、本の価値は、ページの厚みのみで決まるものではない。空疎な言葉がだらだらと書き連ねられているだけでは、とても最後まで読み通す気にはなれないだろう。しかし、本書にはその心配はいらない。「様々な形式・ジャンルとその攻略法を、類書の中でも最も幅広く取り扱った」ことに厚さの理由はあるからだ。

 問題は、「非言語能力」「言語能力」「英語力」「構造的把握力」の4つのカテゴリで計60単元に分けられ、およそ2000におよぶ数が掲載されている。ほぼすべての企業が実施する「非言語能力」「言語能力」の問題に加えて、一部の企業のみが実施する「英語力」「構造的把握力」の問題も幅広く収録されており、その射程は広い。本書を入念に読み込んだ人ならば、試験で「こんな問題の対策はしてないぞ……」と焦る心配は皆無である。

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4つのカテゴリで計60単元に分けられている
およそ2000におよぶ数が掲載
本の価値は、ページの厚みのみで決まるものではない
「様々な形式・ジャンルとその攻略法を、類書の中でも最も幅広く取り扱った」ことに厚さの理由はある

 また、本書の特色は、厚さのみにとどまらない。実は、これまでのSPIの対策本は、必ずしも実際の試験での点数の向上に寄与するものではなかった。本書の冒頭でも、「対策本だけでは、結果が向上しない」という統計学的な事実が明かされる。「じゃあ、この本の意味もないのでは」と思われる方もいるかもしれないが、しかしご安心あれ。本書においては、たしかな点数の向上が見込める。

 どういうことか。対策本での勉強が実際の点数に結びつかないのは、形式の違いにその大きな理由がある。試験は紙上ではなくPC上で行われるため、本と違って計算式などを書き込むことができず、また、画面の大きさにも違いがあるからだ。本書は就活総合対策WEBサイト「CaReealize」と連動し、SPIの本番環境で対策ができる。時間や場所を選ばず、スマホでちょっとした空き時間に問題を解くこともでき、まさに技術が発展した現在だからこそ生まれた1冊となっているのだ。

 SPIで求められるのは「特殊な知識や考え方」ではない。むしろ仕事や生活に欠かせない、基礎的な知識や考え方だ。たとえば、ビジネスで商品の値段を設定したり、純利益を計算したりする際に「利益算」の基礎は必須になるし、メールや企画書を書く/読む際には、基本的な「語句の意味」や「長文読解」の力を身につけていることが前提となる。また、自分の知性をアピールしようと慣用句を用いたものの、その使用法が間違っていて逆に恥をかいてしまった……という事態を防ぐうえで、「間違いやすい慣用句」、ひいては応用的な日本語を知ることなども求められるだろう。本書は問題とその答えに加え、解説も同類の本よりもかなり入念なものになっており(「とらのすけ先生のワンポイントアドバイス」はいずれも一読の価値がある)、長期的な定着に重点を置いていることが、その節々から読み取れる。

 就職試験のためだけではなく、社会に出る上での基礎的な筋トレとしても十分に有用な1冊だ。

文=若林良

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