【TVアニメ2023年放送決定】ついに猫猫が壬氏と結ばれる!? 『薬屋のひとりごと』最新13巻が見逃せない!

文芸・カルチャー

公開日:2023/3/20

薬屋のひとりごと13
薬屋のひとりごと13』(日向夏:著、しのとうこ:イラスト/主婦の友インフォス)

 シリーズ累計2100万部突破の、あの後宮謎解きエンターテインメントが2023年、ついにTVアニメ化される。その作品とは、『薬屋のひとりごと』(日向夏:著、しのとうこ:イラスト/主婦の友インフォス)。中世の東洋を舞台に、宮中で働くことになった少女・猫猫(マオマオ)が、薬の知識を武器に華やかな後宮で次々に起こる事件を解決していく大人気ライトノベルだ。猫猫を演じるのは、悠木碧さん。今まで脳内で想像を膨らませてきた世界はアニメとしてどのように描かれているのか。その内容にファンたちの注目が集まっている。

 そんななか、書籍最新刊『薬屋のひとりごと13』も話題を呼んでいる。猫猫のゆかりの登場人物たちの視点からさまざまな人間模様が描き出されるが、何やらきな臭い。次の展開がますます気になってしまう、伏線? と思われる内容満載の1冊なのだ。

 簡単にこれまでのあらすじをおさらいしておこう。主人公は、花街で薬師として働いていた少女・猫猫。ある時、彼女は人さらいにあい、後宮の下女として売り飛ばされてしまう。その能力の高さに気づいたのは、人間離れした美貌をもつ宦官・壬氏。壬氏の計らいで猫猫は陰謀ひしめく後宮で引き起こされる事件の数々に立ち向かうことになる。下女だったはずの猫猫は、妃付きの侍女として毒見役になり、やがて医官見習いに。さらに壬氏がただの宦官でないことが明らかになる。そんな壬氏とともに猫猫は西都に遠征。大量発生したバッタが農作物を食い荒らす大蝗害の対応に追われ、西都の長のお家騒動にまで巻き込まれてしまった。

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 13巻では、猫猫たちは西都に残る人たちと別れ、1年ぶりに中央へと帰ってくる。久々に登場するキャラクターたちが多く、その姿が嬉しいが、みんなそれぞれに悩みを抱えながら暮らしているらしい。猫猫の従兄・羅半は、猫猫が帰って来てもまだその友人たちに居候されて困っているし、彼に恋心を寄せる者も、その恋に猛反対する者もいる。中央から西都に派遣され、大蝗害に立ち向かった羅半兄は相変わらず散々な扱い。花街の緑青館では、猫猫の姉貴分・女華が、ご落胤を探しているらしい面倒くさい客の相手をしている。猫猫の実父・「変人軍師」羅漢の執務室では武官の首吊り死体が発見され……。西都遠征後の穏やかな日常を賑やかに描き出すかと思えば、あちらこちらには火種が燻っている。これから先、どんな事件が巻き起こるのか。この巻ではこれからのストーリーが仄めかされているように思えてならない。

 さらには、ついに猫猫と壬氏の関係が進展!? 猫猫は壬氏の思いに対して素直になるのだ。周囲のあからさまなお膳立てと、それにドギマギする壬氏の姿には思わず吹き出してしまう。ようやく向き合おうとするふたりの姿にこちらまでドキドキ。思わず身悶えてしまったのは私だけではないだろう。だが、ふたりの間には、壬氏の身分からすれば、大きな問題も存在する。簡単にはいかないその関係は、なんとも歯痒い。そして、それでも壬氏を思う猫猫の強い覚悟には圧倒させられる。

 両思いになったからといって、猫猫と壬氏のこれからは前途多難。政局も絡み合い、物語はどんどん壮大さを増していく。ミステリーとしても、恋愛ものとしても、政治もの、歴史ものとしても面白い。アニメ化でこれからますます話題になるに違いないこのシリーズの最新刊は絶対見逃すことができない。

文=アサトーミナミ

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