家柄目当ての彼との婚約破棄が目標だったのに…本当は私のことが好きだった!? 死に戻った没落令嬢の二度目の人生はどうなる?

マンガ

更新日:2023/4/13

死に戻り令嬢のルチェッタ
死に戻り令嬢のルチェッタ』(天乃忍/白泉社)

『ラストゲーム』や『リバース×リバース』を描いてきた天乃忍氏の新連載『死に戻り令嬢のルチェッタ』(白泉社)の第1巻が発売された。

 物語の主人公は、没落貴族と呼ばれて久しいアンブリッジ家の令嬢・ルチェッタ。彼女は、家の借金を引き受けてもらう代わりに、成り上がり商人のカイルと婚約した。それから2年、結婚式を目前に控えても家柄目当てのカイルに情が湧くこともなく、2人の関係は完全に冷え切ってしまっていた。

死に戻り令嬢のルチェッタ p10

死に戻り令嬢のルチェッタ p11

 夢も希望もない結婚ではあるが、すべては自分の家を守るため。覚悟を決めて式場に出向いたルチェッタだったが、そこでカイルが招いたトラブルに巻き込まれて命を落としてしまう。

advertisement
死に戻り令嬢のルチェッタ p20

死に戻り令嬢のルチェッタ p21

死に戻り令嬢のルチェッタ p22

 しかし目覚めると、そこは家のいつものベッドの上。どうやら不思議な力により、結婚式から2年ほど前に時を遡っているようだった。

 二度目の人生をやり直すルチェッタ。死ぬ原因となった結婚式を回避するため、めざすはカイルとの婚約破棄!

 自力での借金返済のため、身分を隠して占い師を始めた彼女のもとに、1人の客が訪れる。カイルだ。彼の恋愛相談に乗るうち、ルチェッタはカイルが本当は自分を好きだったと知ってしまい…!?

死に戻り令嬢のルチェッタ p28

死に戻り令嬢のルチェッタ p29

死に戻り令嬢のルチェッタ p30

 気が強く、貴族としての矜持も持った令嬢ルチェッタ。冷え切ったカイルとの婚約生活から一転、二度目の人生では、カイルの想いを知ってしまったせいで赤面する場面が続出。思ってたよりもカイルは彼女にゾッコンで、今までの嫌味な発言は全てその裏返しだったらしい。

 過去の記憶では単なる「嫌なやつ」だったカイルは、実は裏でルチェッタのことを守ろうとしていたり、気心知れた街の人たちと朗らかに笑っていたりした。まるで別人のように思えるカイルの本当の姿に、ルチェッタはどうしても戸惑いが隠せない。

 婚約を破棄したいと思い画策する一方で、カイルに対する心情が少しずつ変化していくルチェッタ。婚約した後に始まる両片思い的なストーリーは、キュンキュンポイントが多数あり、読んでるこっちも赤面してしまう。

 何より、天乃忍氏が描くポンコツ男子の魅力はこの作品でも健在で、健気にルチェッタのことを想いながらも空回りし続けるカイルが本当に愛おしい。

 一度見栄を張ってしまったがために、彼女を前にすると意に反して嫌味な言葉ばかり発してしまうカイル。死に戻りをする前であれば、読者も「なんだこの嫌な男!」と思ってしまうところだが、その後の彼の本心がわかってからは「なんだこの不憫な男の子……」と思えてくるから面白い。その身ひとつで事業を大きくし続けてきた彼は、社交の場でこそ世渡りに秀でた大人の男だが、好きな女の子の前では素直になれない少年に戻ってしまう。その表情の差もまたたまらない。

 すれ違い続ける可愛らしい2人の関係は、果たしてどのような形で2年後を迎えるのか。すでに第2巻が待ち遠しくて仕方ない。

文=園田もなか

あわせて読みたい