IKEA、無印、100円ショップで叶える“おうちモンテッソーリ”って?朝の支度、片づけの「できた」で子どもの自己肯定感が上がるインテリア術

出産・子育て

公開日:2023/5/26

 親が料理や掃除をしていると、「自分もやってみたい!」と興味を持って語りかけてくる子ども。どこの家庭にもありそうな風景だが、家事や仕事に追われてなかなか応えられていない、という人も少なくないのでは?

おうちモンテッソーリ インテリアBOOK』(主婦の友社)によると、イタリアの女性医学博士マリア・モンテッソーリが創始したモンテッソーリ教育では、子どもが成長する段階で特定のことに強く興味を持つことを「敏感期」といい、環境さえ整えれば、子どもは多くのことを自分ひとりでできるようになるという。

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自己肯定感を上げるのに大切な2つのこと

 本書によると、モンテッソーリ教育において大事なことは大きく2つに分けられるという。

 ひとつは、「親は子どもの“お仕事”をそっと見守る」ことだという。ちなみに「お仕事」とは、子どもの発達にとって必要な活動であり、なおかつ子どもが自分から「やりたい」と自発的に選ぶもののこと。モンテッソーリでは「お仕事」をするための教具などがある。この「お仕事」に対して、親はつい「○○しなさい」「○○はダメ」と言いたくなるが、できないのはその成長段階ではなかったり、同じことをして集中している証拠だったりするため、親は見守る姿勢をとるのが大切だとか。本書に紹介された家庭の実例や体験談が参考になりそうだ。

 もうひとつは、「敏感期に合わせておうちの環境を整える」こと。たとえば、身につけるものに興味を持ち始めたら身支度コーナーを設置する、など。「できる」や「やる気」は環境によって生まれるため、その時期に合わせて環境を見直すことが重要だとか。本書にも環境の整え方が年齢別に紹介されている。

おうちの環境が整っていれば子どもはグングン伸びる

おうちモンテッソーリ インテリアBOOK P6

 モンテッソーリ教育というと、園や教室のように特別な教具(発達を促すために使われる道具)をそろえるイメージを持つ人もいるだろう。しかし本書によれば、おうちの環境さえ整っていれば、子どもはグングン伸びるのだそう。

 そうはいっても、どこから始めたらいいのかわからない…ということで、おうちモンテッソーリを始めるための6つのポイントがわかりやすく説明されている。

 その一部を紹介すると、ひとつめのポイントは「年齢に合わせてものを出し入れしやすく配置する」。0~3歳の子どもが何でも口に入れてしまうのは、ものの性質や距離感を唇でとらえているから。まだ「お仕事」をするには早い時期なので、それまでは口に入っていいものだけを周りに置くことが大事。この時期の片づけは親が行うが、きっちり整えると負担になるので、ざっくり収納でOKだという。

 同じ項目には「3~6歳」「小学生~」と年齢別に紹介された収納術もあり、子どもの成長に即してアレンジしていけるのがうれしい。

 その他のポイントは、「インテリアに使うカラーは3~4色に厳選」「ものを持ちすぎない」など。具体的にスパッと言語化されているため、「子どもが片づけてくれない」「朝の支度ができない」などの悩みを持つ人も、問題を解決するためのヒントが見つかるのではないだろうか。

IKEA、無印、ニトリ、100円ショップを活用

 本書には、自宅でおうちモンテッソーリを実践しているデザイナーやインスタグラマーの部屋づくりの例がズラリと紹介されている。「こんなおしゃれな部屋、うちでは無理…?」と怖気づくことなかれ。アンティーク家具が並ぶうっとりするような部屋がある一方で、IKEAや無印、ニトリ、100円ショップなど、比較的取り入れやすい家具や雑貨を使った素敵な部屋も紹介されているのだ。

おうちモンテッソーリ インテリアBOOK P61

 3歳のお子さんを持つインスタグラマー・ハルコさんのお部屋では、100円ショップ「セリア」の木製仕切りケースをうまく使って整理整頓された棚の様子などが紹介され、「100円ショップでもこんなにおしゃれになるんだ!」という驚きが。

 ハルコさんは「子どもは勝手に育つよ、と周囲から言われていましたが、なんだか手持ち無沙汰に感じて…」息子のために何かできないかと考え、家を整えることにしたとか。

 まずはリビングに隣接する和室をキッズルームに大改造することになり、棚は夫が以前使っていたものや楽天市場で買ったリーズナブルなものを購入。収納はほぼ100円ショップだが、色と質感をそろえることでまとまりが生まれているそう。誌面には、「ダイソーの木製キャスタートレー 角型」など商品名の記載もあって、わかりやすい。

 息子さんが1歳の頃、それまで大量にあったおもちゃを減らしたというハルコさん。子どもが選べるくらいの量にすると、「集中力が上がってじっくり遊ぶ」ようになり、「自分でお片づけしやすくなった」とか。すぐにでも真似したい!

部屋を整えて子どもの気持ちに向き合う

おうちモンテッソーリ インテリアBOOK P55

 何歳からでも、どんなタイプの家でも、さらにお金をかけなくても実践できるという、おうちモンテッソーリ。本書には他にも、ねんね期~4歳以降の年齢に合わせた“台所でのお仕事を身につけるためのキッチン作り”や、“子どもが外出前に自分で身だしなみを整えられるスペース作り”など、日常生活の活動を通して心と体をつくりあげていくアイデアがたくさん。

 おしゃれなインテリアや、充実した日常生活を楽しむ子どもたちの写真に、「1歳から掃除を!?」「2歳からコーヒーの豆挽きが日課!?」「うちの子もこんなふうに育ってほしい!」などと感じながら、ペラペラとページを眺めているだけでも楽しい。

「いや、うちの子、もう小学1年生だった…」と途中で気づいたのだが、本書によれば、「低年齢から始めるに越したことはないですが、たとえ小学6年生からでも得るものは大きいのがモンテッソーリ教育のいいところ」とのこと。「子どもの学ぶ力は大きい! あきらめないことが大切」という言葉に大きな勇気をもらった。

「子どもの人格を認め、敬意を持って対等な個人として接しましょう」

 本書のこんな言葉にもハッとさせられる。私たちと同じように、子どももひとりの人間なのだ。自分に今できることが感覚的にわかるなんて、大人よりよっぽど優れているようにも思える。

 朝の支度や片づけなどの悩みごとも、環境を整えるだけで解決すれば、子育てはずいぶん楽になるのではないだろうか。「子どもは勝手に育つ」とは、子どもが健全に育つ環境を整えてから初めて言える言葉なのかもしれない。

 子どもは「できた!」という感覚をたくさん経験することで自己肯定感が上がり、新しいことにチャレンジする気持ちが芽生えていくそうだ。「自分もやってみたい」という意思を示した時こそ、日常生活の習慣を身につける絶好のチャンス。それができた時、子どもはどれだけ嬉しいだろうか。そんなことを想像していると、我が子の環境を今すぐ整えたい気持ちでいっぱいになった。気づいた時が、始めどき!

文=吉田あき

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