キラキラ少女漫画×劇画の不良漫画の融合。少女漫画風ヒロインが『北斗の拳』のような世界にひとり飛び込むシュールラブコメ

マンガ

公開日:2023/7/15

キラキラとギラギラ
キラキラとギラギラ』(嵐田佐和子/KADOKAWA)

 キラキラした少女漫画の世界と、ギラギラした少年漫画の世界が繋がったとき、誰も見たことのない恋物語が始まる……そんな超実験的な漫画、『キラキラとギラギラ』(嵐田佐和子/KADOKAWA)をご存じでしょうか。一見、普通の学園ラブストーリーですが読んでみると全然普通じゃない。カオスな世界が広がっています。

少女漫画のお約束も不良漫画風にアレンジ

 主人公は姫路ルル。プリンセスのようなビジュアルと、心優しい性格はまさに少女漫画の王道ヒロイン。物語は彼女が転校するところから始まります。煌々(キラキラ)学園の級友たちに別れを告げ、汽車に乗り込むルル。

「さようなら大好きな街」
「さようなら美しい思い出たち」

 古き良き少女漫画風のポエム。ここまでは完全にキラキラの世界でした。

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 ところが新しい学校でルルは衝撃を受けます。そこは見渡す限り“劇画”。『魁!!男塾』や『北斗の拳』を彷彿とさせるような線の濃い人間ばかり。ルルがやってきた獄門高校は全国のワルが集まる不良の名門校。ギラギラの世界だったのです。

 さらに運悪く、「番長」の隣の席になってしまったルル。学校中の不良に恐れられている番長でしたが、じつはその正体はルルの幼なじみの極楽寺禅。昔とは線の太さも性格もすっかり変わってしまった禅のことがなぜかルルは気になって……。

キラキラとギラギラ

 こうしてあらすじだけ見ると、普通の少女漫画なのかなと思いますよね。でも絵柄がまったく違うキャラクターが同じ画面にいるとそれだけでギャグに見えるし、真面目にやっててもなんか面白くなってしまうから不思議です。

 少女漫画ならではのお約束シーンも、この作品にかかればことごとく不良漫画風にアレンジされてしまいます。というわけで、1巻の見どころをちらっとご紹介しましょう。

並のイケメンには真似できない圧倒的ド根性

◯ヒロインの助け方が気合入りすぎ

 転校初日、学校のワルい奴らに絡まれる。漫画あるあるですよね。ルルも絵に描いたような不良に絡まれます。そこに颯爽とやってきたのが禅。ぶん殴って撃退するのかなと思いきや、次の瞬間、焼却炉の燃え盛る炎に手を突っ込む禅。あまりのクレイジーっぷりに不良たちもドン引き。少女漫画のイケメンヒーローには到底できないド根性を見せる禅なのでした。

キラキラとギラギラ

◯運動神経が常軌を逸している

 イケメンヒーローが体育祭で無双する……学園ものの少女漫画でおなじみのエピソード。もちろん禅も抜群の運動神経ですが、並のイケメンとは次元が違います。ハンドボール投げは遠くに投げすぎて計測不能。50m走は4.85秒、立ち幅跳びは4m15cm。普通にやって世界記録を大幅に更新する禅ですが、ルルの声援が入るとさらにパワーアップ! 20mシャトルランはなんと325回でした。応援されるといつも以上に張り切っちゃうなんて、劇画だけど可愛いところもあるんですね。

キラキラとギラギラ

◯恋のライバルが物理攻撃を仕掛けてくる

 少しずつ、距離が近づいていく禅とルル。そんな彼女の前にスケバンの愛子が現れます。禅に恋する愛子はルルの存在が面白くありません。一般的な少女漫画では、ライバルが卑怯な手を使って抜け駆けしたり、ヒロインを孤立させたりするのですが、愛子は違います。スケバンなので物理的に攻撃します。武器はアメリカンクラッカー。あれ、どこかで見たような…。ルルと愛子の恋の戦いも今後の見どころです。

キラキラとギラギラ

 続く2巻は、7月14日に発売。予告では新キャラクター、“美術室の魔術師”平等院秀樹が登場。白い長ランに、腰まである長い髪……やはりどこかで見たことあるようなビジュアルも相まって、気になって仕方がありません。

 この夏、あなたも新しい学園ラブストーリーを体験してみませんか?

文=中村未来

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