登場人物全員どこかおかしい。二転三転四転五転の大どんでん返しミステリー『レモンと殺人鬼』を読書家たちはどう読んだ?

文芸・カルチャー

更新日:2023/8/3

レモンと殺人鬼
レモンと殺人鬼』(くわがきあゆ/宝島社)

「二転三転四転五転の展開」。帯に書かれたそんな言葉の通り、どんでん返しが立ち続けに巻き起こる驚愕のミステリーが、今、多くの読書家たちを圧倒している。その作品とは、『レモンと殺人鬼』(くわがきあゆ/宝島社)。第21回『このミステリーがすごい!』大賞・文庫グランプリを受賞した傑作ミステリーだ。この作品は、クライマックスにかけて読者の想像を超える展開が次々と巻き起こる。あまりの展開に呆然。あらゆるミステリーを読んできた読書家たちの間にも驚きの声が広がっている。

 主人公は、大学職員の美桜。10年前、洋食屋を営む父を通り魔に殺され、母親も失踪してしまった彼女は、唯一の肉親・妹の妃奈とともにその不遇をかこちながら生きてきた。だが、ある時、妃奈が何者かに惨殺される。さらに、被害者であるはずの妃奈には保険金殺人の嫌疑がかけられ、報道は過熱。世の中には、肝心の殺人犯よりも、妃奈を疑い、非難する風潮さえ出来上がりつつある。美桜は妹の潔白を証明すべく、独自に行動を起こし始めるのだが……。

 このミステリーは、たくさんの読書家たちに衝撃を与えている。

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「えっ」「えっ」「えっ」と立て続けに驚かせてもらいました。
shouji_yoei

怖~いミステリー小説。帯通り四転五転ある。後半は怒涛の展開のため、一気読みをおすすめします。
せんたこうた

読みやすかった。読者を筆者の思う方向にリードしていくのが上手だなぁ~という感じ。 その後のお話が気になるところではある。
ゆず丸

ぱっと目をひかれて表紙買い。タイトルの殺人鬼って誰のことを思ってつけたのかなぁ?きっとあの人だよね。二転三転、ミスリードの数々。私は好きでしたよ。独特な思考の人物が多く感情移入できないことで素直にどんでん返しを楽しめました。
なつめ

真実を求め行動する一方、主人公が抱えている仄暗い過去が交錯し物語は加速していく。先の読めない展開とやがて迎える結末は思いもよらない方向へ着地し驚かされた。
huraki

スピード感があり、飽きさせない展開で素直に楽しい。殺害された妹・妃奈は本当に保険金殺人を行っていたのか?小林美桜の屈折した性格が真実を探りながら、強く成長していく様が心地良い。
遥かなる想い

目まぐるしく変わる展開に緊張感が伝わってきた。本当の顔は誰にも分からない。登場人物全員が疑わしくなり、少しも気が抜けなかった。
芦沢シン

 このように、多くの読書家たちが、「二転三転四転五転の展開」に度肝を抜かれている。ミスリードを誘う文章に幾度となく翻弄され、何度も何度も驚かされてしまうのだ。

 こんなにもこの物語が読書家たちを見事に惑わしてしまうのは、この物語の登場人物全員があまりにも胡乱なせいだろう。怪しい人物が次々と主人公の前に現れ、主人公を、そして、読者を混乱させていく。そうして次第に彼らの心の歪みが明らかになっていくのだ。それは、主人公でさえも例外ではない。主人公だって、ただ、妹の無実のためだけに行動しているわけではない。すべての登場人物が狂気を抱えていることに気付いた時には、読者はもうこの物語からは抜け出せなくなっている。彼らの狂気はどこへ向かうのか全くもって予測不能。それが発露した時、物語は怒涛の展開を迎えるのだ。

 この物語は、一体何度、私たちを騙せば気がすむのだろう。手に汗握りながら、あらゆる登場人物たちを疑いながら読み進めていったのに、物語は想像を絶するところに着地する。この衝撃的な作品はこれからますます大きな話題を呼ぶに違いない。「二転三転四転五転」の大どんでん返しと、驚愕の結末。多くの読書家たちを魅了してやまない、刺激的なミステリーをぜひともあなたも手にとってみてほしい。

文=アサトーミナミ

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