「返金してください」「金は払えないけどお前の会社に爆弾は送った」「え…」

公開日:2013/1/28

督促OL 修行日記

ハード : PC/iPhone/iPad 発売元 : 文藝春秋
ジャンル: 購入元:電子文庫パブリ
著者名:榎本まみ 価格:1,234円

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コールセンターの仕事。やったことはないけれど大変そうな仕事だということはなんとなく想像できる。しかも、この著者が新卒で入社し配属された部署は、キャッシング専門の督促部署。世界中の誰もが取りたくない「金返せ」という借金の取り立ての電話をかけることが彼女の仕事内容なのです。

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督促部署に配属されて半年で体重10キロ減、ストレスで顔中ニキビだらけ。罵倒されて涙をポロポロと流す大人たち。朝7時から夜11時までのブラック部署。もう辞めたい。そして毎月誰かが必ず職場を去っていく。ただ、離職率は高いけれど、時給もいいので求人を出せば応募はたくさんくる。誰かが倒れたらまた次の人。そんな人材の使い捨てのような職場に疑問を感じた著者は、職場を辞めることではなく、督促の研究をしてお客様に立ち向かう方法を考えてこの仕事を続けようと決意するのです。そしてなんと後々には年間2000億円の債権を回収するにまで成長するのです。2000億円って!世間の人々はそんなにお金を借りているんですね。

お客様の家族にストーカーに間違えられるわ、爆弾を送ったなんていう脅迫電話は日々くるわ、お金が払えないからってダンボール一箱分のキャベツを送ってくるお客さままで。そして部下の悩みをノラリくらりとかわす高田純二に似た上司はまったく頼りにならない上に「12連勤よろしく」と恐ろしいことを言ってくる。ひー。著者が物凄く大変で辛い日々を送っているのはとってもわかるんですが、どうしても笑わずにはいられません。キャベツって!

こういった興味深くおもしろい督促OLの日常に加え、督促で学んだ著者のコミュテクや先輩たちの凄すぎる武勇伝など、読み応えのある内容盛りだくさんです。日々クレーム処理に頭を抱えている職種の人たちはぜひ読んで、著者のコミュテクを利用してみてください。そういえば私もこの前「携帯料金払われていないので止めます」みたいな最後通告の手紙が来ててなんだかイラっとした覚えが。あれも立派な督促ですよね。イラっとしてごめんなさい。みなさん、支払いはちゃんと決められた期限内にしましょうね。


普通の生活ではなかなか耳にできない恐ろしい言葉も、著者にとっては日常茶飯事

1時間に60回が電話のノルマ。ハードすぎます

罵声にも動じない先輩たちの武勇伝が凄すぎる

家族に内緒で借りられているお客様のために名乗らずにいるとストーカー呼ばわりされたり

爆弾予告もなんのその。著者様、お疲れ様であります