コナンのキック力増強シューズを実際に使ったら罪になる? 「サザエさん」波平の毛を抜くと何罪か、など身近な事例から法律を学ぶ

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更新日:2023/12/12

おとな六法
おとな六法』(岡野武志/クロスメディア・パブリッシング)

 ほぼ毎日テレビゲームをやるのだが、よく「このキャラの行動は、日本では犯罪だろうな」なんて思うことがある。「しょせんフィクションの世界」と言われればそれまでだが、もしゲーム内の行動を日本の法律に当てはめたとき、どんな罪になるのか気になっていた。リアルな世界でも「それって法律違反では?」と気になってしまうことは少なくない。

 そんなグレーゾーンな行動が罪になるのか、法律をもとに明らかにしてくれたのが『おとな六法』(岡野武志/クロスメディア・パブリッシング)だ。上述した問題はもちろん、数多くの微妙な問題に、明確な線引きをしてくれている。ここではどんな問題が挙げられているのかを紹介する。

 例えば、長きにわたる人気テレビアニメ『名探偵コナン』について。主人公のコナンは犯人を捕まえるために「キック力増強シューズ」を使う。そのシューズで蹴られたボールや空き缶はとてつもない威力となって犯人にあたり、ほぼ確実に気絶する。もしこれが日本で実際に使われると殺人未遂罪、相手が亡くなると殺人罪に該当するというのだ。明確な意思がなかったとしても、結果として亡くなった場合も殺人罪になるという。

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 また、日本を怪獣の侵略から守ってくれる子どもたちのヒーロー・ウルトラマン。彼はよく怪獣と闘いながら街を破壊するが、あれは罪になるのだろうか。一見、街を守っているのだから無罪放免になりそうだが、ときどき「そこまで壊さなくても……」と思うこともある。さらに、国民的アニメ『サザエさん』の波平が大切にしている、頭頂部に生えた1本の毛。視聴者にいつか抜けてしまうのではと不安を抱きつづけさせて50年以上経つが、まだ抜けてはいない。しかし、これをもし誰かが抜いてしまったらどのような犯罪になるのか。どれも現実ではありえない内容ばかりだが、確かに気になる問題ではある。本書ではこうした問題を真面目にしっかり解説しているのが面白い。

 リアルな世界編でも、「有休申請を却下するのは法律違反か」「学生の髪型で、ツーブロック禁止はブラック校則になるのか」「学校でスマホを充電したら罪になるのか」「月2回の当日欠勤で解雇は不当か正当か」「飲み会で唐揚げに勝手にレモンをかけたら犯罪か」など、気になる問題がたくさん挙げられている。個人的な感想だが、唐揚げにレモン問題は明確に線引きしてほしかったため、とてもためになった。

 読み進めるうちに法律に関するさまざまな知識を学べるのも、本書の魅力だ。これまであまり法律に触れる機会がなかった人でもサクサク読めて豆知識も身に付く。友人や同僚と話をするときのネタにはうってつけだろう。気になる人はぜひ、実際に手に取って読んでみては?

文=トヤカン

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