豚の生レバーを食べて失神、すると豚に転生? 心の声を聞き取れるテレパス美少女と豚が王都を目指す異色冒険漫画

マンガ

更新日:2023/12/12

豚のレバーは加熱しろ
豚のレバーは加熱しろ』(みなみ:漫画、逆井卓馬:原作/KADOKAWA)

 もし異世界に飛ばされるならどんな姿で、どんな世界がいいだろう。異世界転生系の作品を見るといつも思う。できれば強くて、かっこよくて、世界を救う命を授かる勇者になりたいが、そうは問屋が卸さない。『豚のレバーは加熱しろ』(みなみ:漫画、逆井卓馬:原作/KADOKAWA)の主人公のように「まさか!?」な生き物、豚になってしまうことだってある。

 舞台はメステリアと呼ばれる異世界。人間界では自称「眼鏡ヒョロガリクソ童貞(作中表現そのまま)」の主人公は、ある日、豚のレバーを生で食べたことが原因で意識を失ってしまう。気づくと飼育小屋にいて、豚の姿に転生していた。そこで本作のヒロイン・心優しい金髪の美少女ジェスと出会って介抱される中で、この地が魔法使いの王が支配する国だということを知る。ジェスも魔法を使える「イェスタ」という位の子で、主人公の思いや心の声が聞き取れる能力があり、言葉が話せなくなった豚の主人公ともテレパシーで会話ができる。どうやら彼女は、ある事情で王都に向かわなければいけないらしく、そこに行けば主人公も人間の姿に戻れるかもしれないとのこと。かくして2人(1人と1匹?)は一緒に王都に向かう、というのが大まかなストーリーである。

 ストーリーはもちろんだが、本作の魅力は何といっても「豚×心優しい美少女」というキャラクター構図だろう。数ある異世界転生系作品の中でも、群を抜いて異色な組み合わせではないだろうか。なにせ豚の正体は「陰キャ」「オタク」「変態」と呼ばれることに何の抵抗もない男。作中では、各所にジェスへのセクハラまがいの妄想がちりばめられており、「本当に彼が主人公でいいのか……?」と疑いたくなる。でもなぜか私は彼に嫌気を感じない。それはきっと要所でジェスを危険から守る姿がかっこいいからだろう。王都に向かう道中、さまざまな危険が2人を襲うのだが、それらに率先して立ち向かうのは主人公なのだ。姿形は豚で力も人間にはかなわない。しかし、彼は知恵を最大限に振り絞り、一生懸命ジェスを守ろうとする。その姿は、たとえ「眼鏡ヒョロガリクソ童貞(作中表現そのまま)」という異名を持っていてもかっこよく見えるのだ。果たして、主人公は無事人間に戻れるのだろうか?

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 もう1つ気になるのは、ジェスが王都へ向かう理由だ。彼女は作中で神妙な顔をしながら、こんなことを豚に告げる。

“ちょっとした…おつかいみたいなものですから”

 絶対に「ちょっとしたおつかい」ではない! 心優しい子が何か重大な隠し事をしているときに使われる常套句なのは明らかだ。彼女が何を隠しているのか。それはぜひ、書籍を手に取って確かめていただきたい。

 ちなみに本作は、2023年10月7日から毎週土曜24:30より、アニメ版の放送がスタートしている。アニメ版のジェスの可愛さ、そして豚のイカレ具合とかっこよさも想像以上だ。個人的に声優さんがとてもマッチしていると感じるので、漫画とアニメ、どちらも見ることをおすすめする!

文=トヤカン

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