罵倒の裏に隠れた甘々な本心がダダ漏れ! ギャップに翻弄される年下×魔法学園×ツンデレラブコメ『うちの黒魔導士がかわいすぎる!』

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PR公開日:2023/12/22

うちの黒魔導士がかわいすぎる!
うちの黒魔導士がかわいすぎる!』(たきどん/白泉社)

 表面上はそっけない態度を取るが、ときおり顔を出す“デレ”にときめいてしまうというツンデレ好きは少なくないだろう。そんな人にこそぜひ手にとってほしいのが、12月に第1巻が刊行された注目のギャップラブコメ『うちの黒魔導士がかわいすぎる!』(たきどん/白泉社)だ。

 ハーディクォーツ魔法学園に通う高等部3年のアリアは、人望があり周囲から慕われている優等生。成績優秀ゆえに後輩を教え導く監督生に選ばれるも、1年生の問題児・ジェイドの指導に頭を悩ませていた。ジェイドはアリアを「クソ女」と呼び、悪態をついてはすぐに教室を抜け出してしまう。彼は500年前に禁術を使って人々を恐怖に陥れ、今もなお忌み嫌われている黒魔導士の一族の末裔で、普段の態度の悪さと相まって学園内でも恐れられていた。

 だがある日、アリアは体に触れた相手の心を見通す「読心魔法」が突然使えるようになり、思いがけないかたちでジェイドの本心を知ってしまう。「殺すぞ」の言葉の裏に隠された本音は「好きだアリア」。「しつけぇぞクソ女」は「かわいすぎんだろクソ」。「目障りなんだよ」は「花の精か? 攫うぞ」。ジェイドの感じの悪い態度と、ダダ漏れになる本心のあまりのギャップにアリアは混乱してしまい――。

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 物語はアリアがジェイドの態度とは正反対の甘々な心の声に翻弄される様を軸に、学園内で起こるさまざまな事件や、変わりゆくふたりの姿と関係を描き出す。作中に登場する魅力的なキャラクターのなかでも、とりわけジェイドのインパクトは強烈で、ツンデレ界のニューヒーローと呼びたくなる存在感を放つ。外向きの態度と隠された本心の乖離がなんとも微笑ましく、やがて彼の不器用な優しさや他人に対する気遣いが明らかになるにつれて、ますます愛おしさが増していくのだ。

 アリアも当初はジェイドの行動に手を焼くが、ジェイドと関わるなかで、彼の隠された優しさや思いやりを知る。黒魔導士の末裔ゆえに学園内で孤立しているジェイドは、アリアとの関わりのなかで少しずつ誤解を解き、他の生徒からも受け入れられていくのだった。感情表現が豊かでくるくる変わる表情が愛らしいアリアに対して、ジェイドは笑顔をみせることはなく、いつも険悪な雰囲気を漂わせている。そんな彼がアリアの前で、これまでにない表情をみせる様には、ついつい読者の口元も緩んでしまうだろう。

 キュートな絵柄と丁寧に描き込まれた華やかなディテールも、『うちの黒魔導士がかわいすぎる!』の大きな読みどころのひとつ。かわいらしいアリアや、黒髪切れ長の目が印象的な美形ジェイドなどのキャラクターに加えて、魔法学園らしいファンタスティックなデザインの建物や凝った背景、デザイン性の高い服装など、ページのすみずみまで目を楽しませてくれる。ラブコメ好きだけでなく、ファンタジー好きにもおすすめの一冊だ。

文=嵯峨景子

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