42歳で妊娠・出産した子育てライフにほのぼの…。0歳児からの育児の参考にもなる『おかあさんライフ。』

マンガ

公開日:2024/3/1

 41歳で結婚し、42歳で妊娠、女の子を出産した漫画家たかぎなおこさんは、今や作家デビュー20年のベテラン。そんな彼女が、子どもと一緒にお母さんになっていく日々を描いたエッセイ漫画『おかあさんライフ。』は、すでに3巻まで刊行されている。

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おかあさんライフ。

 当たり前だが、夫婦も親になったばかり。初めてのことだらけで、毎日育児をするだけで精一杯の様子だ。

 しかし、そんな大変な日々の中でも、子どもは当然愛らしく、気がつけば子どもの未来に思いを馳せて涙をこぼしていたりする。母親って、なろうと思ってなるのではなく、気がつけばなっているものなのだろう、と作品を読んでいると感じる。

おかあさんライフ。

おかあさんライフ。

 また、作者は高齢出産に加えて、2日間の陣痛からの帝王切開という、かなりハードな出産を経験した。出産後もろくに食事も取れないまま、泣き止まない赤ちゃんをあやさなければならず、当時を描いた回では、かなりボロボロの様子だ。帝王切開後初の食事は「おもゆと具なしのスープ」で、全然足りずにお腹はぐーっと鳴りっぱなし。その後、初めての授乳にチャレンジするのだが、出がよくないようで娘はずっと泣いていたのだ…。

 そんな中でも、授乳をしながら食事をする術を編み出したり、ちょっとした隙間時間で仮眠をしたり、なるべく母乳が出るようにとたくさん水を飲みながらセルフマッサージをしたり……とてもたくましい姿が描かれている。作者が極限状態の中でも試行錯誤している姿は、育児中の読者はもちろん、これから妊娠や出産を控えている読者の人たちにとっても、心動かされるものがあるのではないだろうか。

 公園で遊ぶ周りの親子を見ながら、つい若いなあと言ってしまうような作者夫婦。確かに歳は離れているかもしれないが、子どもの年齢が近ければ、悩むことも似通っていたりする。児童館の0歳児クラスに通う作者は、気がつけば若いママたちとの会話にもすっかり夢中になっていた。作中では、自身の年齢を気にしたり気後れしたりする場面も多く出てくるが、そんなシーンでも作者は新しい服を買いに行ったり、美容院に行ったり、努力をする姿が描かれている。年齢で卑屈になりすぎることはなく、どんなときでもちょっと前向きに世界を見ることができるのは作者の美点だ。

 何よりも、いつだって楽しそうなのがいい。もちろん育児は大変だが、それを上回る楽しさや愛らしさが子どもとの生活にはあるのだ。

 ドタバタながらも、夫と娘との温かい三人暮らしに、胸がほっこりとする。また、0歳児からの育児についてかなり細かくエッセイとして描かれているので、これから出産や育児を控えているママたちにも参考になる一冊だ。

文=園田もなか

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