新参者いびり、古い慣習の押し付け、近すぎる距離感… ヤバい自治会と戦った実録マンガ『家を建てたら自治会がヤバすぎた』

マンガ

公開日:2024/4/29

家を建てたら自治会がヤバすぎた

 夢のマイホームを建てたのに、その地域の自治会が最悪だったらどうするだろうか。何千万円という大金で購入した一軒家では、すぐに引っ越して逃げ出すことはできない。『家を建てたら自治会がヤバすぎた』(新庄アキラ/KADOKAWA)では、ヤバすぎる自治会と戦った実体験が描かれている。本作は一軒家を購入しようと検討している人にこそ、おすすめしたい作品だ。そして、購入する土地を決める前に1度その地域の自治会について調べてみてもらいたい。

 

家を建てたら自治会がヤバすぎた

家を建てたら自治会がヤバすぎた

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 とある地方の田舎町・癖凄県矢場井町に念願の新築一軒家を建て、夢の新生活をはじめた新庄一家。引っ越してきた人はみんな自治会に入るものだと言われて入った自治会は、田舎の嫌なところをすべて詰め込んだような地獄だった。懇親会では新しく来た人が酒とお米を振る舞うという謎の慣習に、無断で上がり込もうとするご近所さん。その距離感だけでも嫌になるのに、隣人たちからあらゆるハラスメントを浴びせられる。どう対応しても「正解」がない自治会の付き合いに、日に日に心を消耗し新庄夫婦はボロボロになっていた。

家を建てたら自治会がヤバすぎた

 

 あるとき、ご近所さんから趣味じゃない洋服や年代物の使い勝手の悪い乳母車を善意で押し付けられる。それだけでなく、自分の前で使っていなかったら、泣きながら抗議してくるのだ。こうした迷惑な善意にも感謝を求められるのは、あまりにも地獄すぎるだろう。泣きたいのはもはやこっちの方である。勝手に泣いてるだけなのに、老人という弱い立場の人を泣かせているように見える状態を強制されては敵わない。

家を建てたら自治会がヤバすぎた

 本作の最大の魅力は、ヤバい人たちへの適切な対処法を学べることだ。ヤバい人には自分の意見を「ハッキリ」言わないと伝わらない。失礼な態度をとってくる人間にも丁寧に接していると、どこまでも舐められてしまう。最初は失礼にあたると、下手に出ていた新庄さんだったが、次第に自分の気持ちをハッキリと伝えるようになっていく。

家を建てたら自治会がヤバすぎた

 ヤバい人と関わるうえでもう1つ重要なのが、嫌だと思うことにエネルギーを使わないことである。嫌な人の言動に振り回されるばかりに、大事な家族との時間を犠牲にしてはもったいなすぎるのだ。新庄家の行動からせっかく得た夢のマイホームを守るためには、感情を向ける優先順位をつけることが大切だと学んだ。

 新庄一家はわざわざ嫌がらせをしてくる自治会の人たちに負けないよう、堂々と暮らすことにした。その結果、快適な生活を取り戻すことに成功する。一方で、新庄家に嫌がらせをしてきた自治会メンバーは、次々と自滅していくのだ。因果応報がこんなに似合う展開も珍しいと思うほど、見事なまでの転落劇を見せてくれる。ヤバすぎる自治会の人々はしっかり「ざまぁされる」ので、安心して最後まで読んでもらいたい。

家を建てたら自治会がヤバすぎた

『家を建てたら自治会がヤバすぎた』は、ヤバい自治会に当たったときの対処法を学べる良質な実録マンガである。もし同じような目に遭っている人がいれば、新庄家の行動を見習うことをおすすめしたい。嫌な人のために心をすり減らすのではなく、覚醒した新庄一家と同じように自分の意見をハッキリ伝えて堂々と暮らしていこう。そして何より、一軒家を建てる前に自治会についても調べ、ヤバい自治会に入ることそのものを回避してもらいたい。

文=ネゴト/ 押入れの人

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