学校イチのイケメンが、地味な私に恋をした。王道青春少女漫画『黒崎くんは独占したがる』に大人が胸キュンする理由

　地味で平凡な自分のことを、なぜか学校イチのイケメンが好きになってくれて――。これは少女漫画の王道展開のひとつです。王道だけど、主人公の女の子に共感できなかったりイケメンが自分勝手すぎたりすると入り込めないし、そもそも男の子にキュンとしないと成立しないし……。実は私もう30年以上少女漫画を読み続けておりまして、王道展開は特にハードル上げて読んでしまいます。しかし『黒崎くんは独占したがる～はじめての恋は甘すぎて～』（桜田霊子：作画、香乃子：原作/スターツ出版）は前のめりにどんどん読んでしまいました。それはなぜなのか？　発売後即重版となった人気作でもある本作の魅力を紹介したいと思います。

『黒崎くんは独占したがる～はじめての恋は甘すぎて～』を試し読み

　主人公は女子高生・モカ。自分のことを地味子だと思っているモカの後ろの席は、ファンクラブがあるほどの人気イケメン男子・黒崎くん。モテるのに群がる女子には塩対応な彼のことを、モカは別世界の住人だと思っていました。しかし黒崎くんは違って……。という、青春感満載のピュアなラブストーリーです。

黒崎くんの笑顔がかわいすぎる！

　黒崎くんは全国トップクラスの進学校に通い、全国制覇したサッカー部の主将を務める文武両道ぶり。その上180cm以上の高身長というパーフェクト男子高校生です。

　自分に群がる女子には塩対応なのに、モカにだけ笑顔を見せる黒崎くん。モカのことをよく知っていたり、お弁当を作ってと頼んだり、アプローチも直球で硬派＆一途なのも高ポイントです。

　そしてモカにだけ見せるこの笑顔がとにかくかわいい！　作中何度も登場しますが、このちょっと照れたような感じが高校生らしい初々しさに溢れていてたまりません。

主人公・モカの魅力に陥落

　モカは自分に自信がないため、黒崎くんの直球アプローチにも気づかず。自分に好意を抱いているとは露ほども思いません。この「主人公が鈍感」という設定も王道ですが、時として読者をイラつかせてしまうことも。でもモカにはイラつかないどころか、後押ししてあげたい気持ちになってしまいました。それはモカが素直だからだと思います。実は黒崎くんがモカに好意を持ったきっかけも、表情豊かで飾らないところが気になったからなのです。

　例えば黒崎くんのことが気になるようになってきたモカは、彼の周りにいるかわいい女の子たちと自分を比べたり、とある出来事から黒崎くんが自分を好きになるはずがないと思い込んだりと度々落ち込みます。そこで自分の気持ちに反する行動をせず、自分の中に生まれた感情を常に直視し、戸惑いながら生きる姿が読者の共感を呼ぶのだと思います。

黒崎くんのギャップがエグい

　作品タイトルから察しがつくように、無事お付き合いをスタートさせたふたり。するとあんなに無愛想男子だった黒崎くんが、デレデレに！

　黒崎くんのファンからモカがやっかみを受けないように交際の事実を隠すことにしたふたり。まともに会話ができるのはお昼休み、図書室でふたりきりになる時のみなのですが、黒崎くんはそれも待てないほどモカに夢中。

　隠れモテ女子なモカに他の男子生徒が寄って来る様子を見ては、「自分は人前では話しかけられないのに……」と気が気ではありません。

　だんだん愛が重めになっていく黒崎くん。完璧男子なのに「俺なんかのどこが好きなんだろう」と実は悩んでいるところもサブタイトル通り“はじめての恋”な感じがします。

　ふたりの初々しい恋愛はまだまだ続いていく模様。ピュアなふたりを応援しながら、あの頃の気持ちを取り戻してみてはいかがでしょうか？

文＝原智香