聖女に選ばれたのは妹…だと思ったら、実は自分が最上位の聖女だった!? 不遇から成り上がる、竜王×聖女の溺愛系逆転ラブファンタジー！
マンガ PR公開日：2024/3/29
不遇の扱いを受ける主人公がひたむきに生き、その先で幸せを手に入れて逆転劇を起こすシンデレラストーリー。ハッピーエンドが約束された王道展開に、一度は憧れたことがある人も多いのではなかろうか。もちろん、筆者もその一人だ。
『最上級の聖女らしいですが、竜王様の花嫁にはなりません！～追放されたので薬師として第二の人生を謳歌します～』（服部万利：作画、百門一新：原作/スターツ出版）は、そうした見たい、読みたい展開がギュッと詰め込まれた、溺愛系逆転ラブファンタジー！ 先月2024年2月に発売されたばかりの本作は、1・2巻同時発売かつ完結で、「一気読みしてスカッとしたい！」という願いも叶えてくれる。
本作品の主人公は、エルドゥランド伯爵家の令嬢・ソフィア。水も緑も豊かなロードヴァラン王国では、一番の聖女を決める「聖女選定式」が行われる。ここで「祈りの間」にある聖なる岩を光らせた聖女は、国を加護し繁栄をもたらす聖獣の花嫁となり国を支えるのだ。エルドゥランド伯爵家は、代々この一番の聖女を輩出している血筋。ソフィアもまた、妹のシャーナとともに選定式に挑むことになっていた。
しかし、ソフィアの髪色は銀色。ソフィアはいつも美しい金髪を持つ妹と比較され、周囲から「老人みたい」「絶対に聖女の髪色ではなくてよ」と陰口を叩かれ、家族からも疎まれて虐げられていた。
そんな中で執り行われた選定式。ここで妹のシャーナは、周囲の期待通り岩を光らせることに成功する。そしてその瞬間、ソフィアは完全に「いらない子認定」されてしまったのだった。
ソフィアは家を出て、別荘で新たな生活を始める決意をする。だがその日の夜、自室の天井に魔法陣が現れ、そこから真っ白い大きな翼を持つ男性が現れた。「俺の嫁を迎えに来た」と話すその男は、実は聖獣界の王である竜王・クレイグ。
ソフィアはいつの間にかクレイグとの婚儀を済ませたことになっていて、しかも聖女の中でも最高位の「白の聖女」であることが判明し――!?
その後クレイグとともに別荘へ移り住み、心機一転、薬草の販売店を始めたソフィア。自分が家族にとっていらない子だったという辛い現実を受け止め、前を向いて逞しく一歩を踏み出すソフィアを見ていると、ついつい応援したくなる。そしてどんな状況からでも立ち上がれるという、勇気と力をもらえる。周囲とうまくいかない日々が続くと、つい卑屈になったり立ち止まったりしがちだが、結局は自分で立ち上がって道を切り開くのが一番確実で着実ということだろう。そしてそういう人には、自然と人がついてくる。
クレイグは、竜王として聖獣の最上位に君臨しながらも、ソフィアに一から聖女の力の使い方を教え、開店の手伝いをし、彼女が心から婚姻を受け入れるのを待つ。ソフィアを愛し、銀髪を蔑むことなく寄り添い支えてくれるクレイグの存在は、ソフィアにとっても少しずつ大きな存在となっていく。
また、1巻後半で登場する可愛らしい猫の聖獣・メディにも注目したい。メディの頼みで、ソフィアとクレイグは、ある大きな危機にも立ち向かっていく。
クレイグとソフィアは、これからふたりでどんな生活を送っていくのか、ちゃんと夫婦になれる日はくるのか、危機は回避できるのか――。聖女認定された妹シャーナやエルドゥランド伯爵家のその後も気になる。1巻で広がった物語が2巻でどう集約していくのか、どういう結末になるのか、ぜひ最後まで見届けてほしい。
文＝月乃雫
