「心で裏切り続けてるのって不倫と同罪」忘れられない恋から巻き起こるドロ沼愛憎劇『ワタシ以外、全員不倫』

マンガ

PR公開日:2024/3/29

ワタシ以外、全員不倫"
ワタシ以外、全員不倫』(とらふぐ:原作、左藤いすみ:作画/DPNブックス)

 自分が好きな人が他の人と婚約してしまったら、きっと何も手につかなくなるほどのショックを受けるだろう。諦めるしかない恋心ほど、素直に忘れられないものはない。『ワタシ以外、全員不倫』(とらふぐ:原作、左藤いすみ:作画/DPNブックス)では、そんな過去の恋愛を中心にドロドロの愛憎劇が繰り広げられる。隠し切れないほどの恋心や、嫉妬で激しく揺れ動く男女の感情にハラハラさせられる作品だ。

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 主人公の瑞穂は、大手化粧品会社に勤める30歳。仕事も順調で、順風満帆な生活を送っていた。そんな瑞穂には、上司の宇崎に憧れていた過去がある。しかし、宇崎が突然ニューヨーク支店へ転勤になってしまったうえ、同僚の理子と婚約したことでその恋を諦めていた。傷心中に親身になってくれた真一と結婚して2年。かつて好きだった宇崎が日本の本社に戻ってきたことで、瑞穂の物語は大きく動きはじめる。

ワタシ以外、全員不倫

ワタシ以外、全員不倫

 宇崎の婚約者である理子は、瑞穂の運命を大きくかき乱す存在だ。瑞穂を見下す顔には「瑞穂より自分の方が上」という考えが滲み出ているように見える。それだけでなく、理子は倫理観も欠けていて、婚約者がいても平気で男遊びをする人間だった。瑞穂から宇崎を奪っただけでは飽き足らず、どうやら今度は瑞穂の夫と不倫しているようで…。自分の大切な人を理子に奪われ続けている事実に気づいてしまい、瑞穂は深く傷つくことになる。

ワタシ以外、全員不倫

ワタシ以外、全員不倫

 かつての憧れの人である宇崎と再会した瑞穂は、仕事で宇崎をサポートすることに。ふたりで出張に行ったことがきっかけで、その距離は再び急接近しはじめる。出張の中で、かつて恋心を抱いていたのは瑞穂だけでなく宇崎もだったと判明したのだ。「俺はおまえのことが好き…」と本心を伝える宇崎の表情からどれだけ深い気持ちなのかがわかってしまう。だが、別のパートナーがいるふたり。それでも、心の奥に抱き続けてきた埋火は消えることなく、ふたりの想いを燻ぶらせていく。

 もしも宇崎がニューヨーク支店に異動になる前に瑞穂に好きだと伝えてくれていれば、きっと今頃ハッピーエンドを迎えていたのだろう。そんなもしもの幸せを願っても、瑞穂には夫がいて宇崎には婚約者がいるという現実が変わることはない。

ワタシ以外、全員不倫

 不倫は決して許されない。手を伸ばせば届く距離にいたとしても、忘れられない相手をそんな形で愛したいわけではないのだろう。理性と本心に揺れる瑞穂と宇崎の気持ちを想像すると、思わず胸が締め付けられる。どんなに諦めようとしても忘れられない人がいるなら、他の人と結ばれるべきではないのかもしれない。

 宇崎の心には瑞穂がいるにもかかわらず、理子と婚約したのはなぜなのか。そんな大きな謎を抱える宇崎は理子と結婚式を挙げることが決まり、ますます瑞穂から遠ざかっていく。それでも、本心は隠せるものではなく、お互いを想う瑞穂と宇崎の気持ちは理子や真一を傷つけることになり――。

ワタシ以外、全員不倫

 瑞穂と宇崎の恋は一体どこへ向かうのだろうか。「ワタシ以外、全員不倫」という環境の中で、ふたりがそれぞれ歩む道がどうか誠実で幸せであることを祈りたくなる。忘れられない恋を中心に巻き起こるドロ沼愛憎劇の行方から、今後も目が離せない。

文=ネゴト/ 押入れの人