なんとなく会社を辞めちゃった! めんどくさがりアラサー女子のリアルな無職体験談

マンガ

公開日:2024/5/7

思いつき無職生活 職なしガールの残念だけど悪くない日々

「会社を辞めたい!」仕事内容がハードすぎて、職場の人間関係がつらくて……。会社を辞めたくなる理由は様々だ。ただ、なにか理由や決定的なきっかけがあってから退職を考えるパターンがほとんどだろう。『思いつき無職生活 職なしガールの残念だけど悪くない日々』(いけだいけみ/KADOKAWA)は、著者が特にこれといった理由もなく「なんとなく」会社を辞めてしまうところから始まる。

 本書の著者であり主人公であるいけださんは、デザイン関係の仕事をしているアラサー独身女子。特に野望や情熱もなく働いているうちにアラサーになってしまったことに焦りと危機感を抱いた彼女は、会社を辞めてみることにしたのだった。思いつきで無職になったという体験談はなかなか聞けない。「なんでなんとなく辞めてしまったんだろう?」と早々に彼女に対して興味をそそられるのだ。

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思いつき無職生活 職なしガールの残念だけど悪くない日々

 会社で引継ぎを済ませて荷物を全て持ち帰って、さぁ退職! 無職になったら「これからどうしよう……」と不安や焦りを感じそうなものだが、いけださんはマイペースに無職生活を謳歌する。思いっきりだらけてみたり、結婚式の2次会のビンゴで当たったホームベーカリーでカレーパンを焼いたり。バタバタと毎日いそがしく働いている人からしたら、夢のような生活だろう。そんな自由な無職ライフを覗き見ることができるのが、本書の面白さだ。

思いつき無職生活 職なしガールの残念だけど悪くない日々

 しかし、無職生活は自由なだけではない。健康保険や住民税など、税金の負担が重くのしかかってくる。収入がなくなるため、常にお金の心配がつきまとうのが無職の苦しい点だ。髪を切るとき、節約のためにカットモデルの募集を探すほど。カットモデルになって4時間かけて髪を切ってもらったエピソードが、時間はあるがお金はないという無職の性質を面白おかしく描いている。

思いつき無職生活 職なしガールの残念だけど悪くない日々

 他にも、もし病気にかかって部屋でひとり息絶えたら、助けてくれる人もすぐに見つけてくれる人もいない。会社勤めでないがゆえに人間関係が少ない無職の孤独感がリアルだ。だが、本書はそういった現実的な面をコメディタッチの4コマ漫画で描いている。あまり重く考えすぎずに、全体を通して気軽に読めるのだ。たまに見せる無職の切実さとコミカルさのバランスがちょうどいい。

 無職は自由だが不自由だ。全部が最高とは言い切れない生活だが、軽いタッチで描かれる本書を読むと「案外ありかも……」と楽観的な気持ちになってくる。普段がんばりすぎている人にとって、ふっと肩の力が抜ける1冊だ。会社を辞めたいけださんが、最終的にどのような人生の選択をするのか。ぜひ最後まで読んで、無職の結末を見届けてほしい。

文=ネゴト/ まわる まがり

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