デートでガッカリした瞬間、仕事のグチ、セフレの話… 赤裸々すぎる女子会トーク満載! 『20時過ぎの報告会』

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公開日:2024/5/4

20時過ぎの報告会

 好きな人ができた時、デートでの出来事を話したい時、仕事の愚痴を言いたい時、あなたなら誰に話したいと思うだろうか。『20時過ぎの報告会』(ヤチナツ/KADOKAWA)は、タイトル通り、女性たちが仕事終わりに集まって報告会をする作品だ。


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20時過ぎの報告会

20時過ぎの報告会

20時過ぎの報告会

 報告会のメンバーは、同じ会社に勤務する、こはる、りさこ、きみちゃん。3人は何かあった時にお互いの顔を思い浮かべ「早く報告したい!」と思える関係性だ。実際に会うと、なんてことないことから、他では口が裂けても言えないような赤裸々なことまでとにかくしゃべる。

 さらに3人の他に、ロマンチストなゲイのナオちゃん、性に奔放かつ素直なうのちゃん、会社の先輩で経験豊富なアカネさんなど、濃いキャラクターも登場。その分、バラエティ豊富な報告会が行われる。

 例えば、こはる&うのちゃんの場合、性的な価値観が近い。互いのセフレとのことや性行為のエピソードなどを赤裸々に話せる報告会だ。こはる&りさこ&ナオちゃんの場合は、ナオちゃんが最近気になる相手とのことを話すと、こはるが正反対の意見を出し、きみちゃんはナオちゃんに共感する、絶妙なバランスで成り立つ報告会。報告会の内容がリアルで、身に覚えのあることもあるからか、その場に自分もいるような錯覚を覚えて共感せずにはいられなくなる。

 ただ、ずっと同じ場所にとどまって報告会をしているだけではない。1巻は報告会がメインだったが、2巻では社会人になってからのこはるの変化に重きが置かれている。こはるが新卒で就職した会社はかなりブラック。こはるは仕事中も恋愛中も、なんだかつらそうで、1巻のハツラツとした雰囲気がないのが印象的だ。

20時過ぎの報告会

 2巻でも、1巻の時のように友達と会って話すシーンはあるが、こはるの心のあり方がまったく違う。ブラックな会社にいるこはるが会社を退職できないことを友達から責められるシーンで、こはるは「相手の言っていることは真っ当なのだろう」と思ってはいる。ただ、その時のこはるには、まっとうな意見を受け入れられるキャパも、スルーしようと思える余裕もない。追い詰められると人はこんなに違って見えるのか、と驚く。

 こはるがその後どのように行動し、1巻のように楽しそうな報告会ができる余裕を持つことができたのかは、ぜひ本作を手に取って確認してほしい。

 さらに、3巻ではきみちゃん、りさこにも(ここで詳述するのは避けるが)大きな変化が訪れる。ただ、それぞれの人生におけるステージが変化しても、こはる、きみちゃん、りさこの3人で集まって報告会をしていることは変わらない。その変わらないことに読んでいてほっとした。

 人生は、楽しいことばかりではない。ただ、嫌なことがあっても「これ、あの人と会う時に話すネタにしよう」と思えるくらいの心の余裕があれば、嫌なことでも耐えつつ楽しむ余裕ができるのだろう。

 いいことも悪いことも聞いてほしいと思った時に話せる相手がいることは、とても幸せなことだと思う。コロナ禍を経た今だからこそ、この幸せを噛み締めて生きていきたいと思う。本作を読んで、そんな当たり前の幸せに気づくことができた。

 作者のあとがきによると、4巻の発刊準備をしているそうだ。いつ発売になるかは未定のようだが、また本作の登場人物たちに会える日が待ち遠しい。

文=ネゴト/ すぎゆう

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