「子どもは基本ツッコミ」――子どもが苦手な大人必読! 小島よしおが年間100本以上の子ども向けライブで知ったコミュニケーション術
2017/8/14
「そんなの関係ねえ」「おっぱっぴー」などのギャグと、海パンにムキムキの筋肉というインパクト十分な風貌で、2007年に大ブレイクしたお笑い芸人・小島よしお。現在はテレビ出演が減ったことから「一発屋」扱いされることも多くなったが、毎週のように子ども向けお笑いライブをこなし、ファミリー層からは根強い支持を得ている。子どもとの関わりはもはや小島のライフワークと化しているといってもいい。
年100回以上のお笑いライブを通して小島が悟った子どもとの向き合い方を本にしたのが『キッズのココロわしづかみ術』(主婦と生活社)だ。子どものいる読者はもちろん、子どもと接する仕事をしていたり、どうにも子どもが苦手だったりする人も読みこんでみてほしい。子どもの考えが理解でき、大人としてどう振る舞うべきかが分かるからだ。
仕事が安定していた30歳ごろから、小島は「自分には芸人として秀でたものがない」と悩んでいた。5年後、10年後にもお笑いを続けていくため、力を入れ始めたのが子ども向けお笑いライブだったのである。しかし、最初のうちは動員がふるわず、子どもの楽しませ方を試行錯誤する日々だった。ライブが評判になり、大盛況を呼んでいる現在でも小島は新鮮な気持ちでステージに上がっているという。決して段取りに慣れてしまわず、一回一回の公演を大切にしているからこそ、小島は子どもの心を「わしづかみ」にする方法を見つけていく。
たとえば、「恥ずかしさを捨てよう!」と小島は世のお父さんたちに提案する。子ども向けライブでは「ごぼうのうた」というオリジナル曲を子どもと一緒に歌うのが定番となっている。「栄養価の高いごぼうを食べられるようになってもらいたい」との思いから作られた曲なので、お笑いの要素はあまりなく、歌詞はストレートにごぼうを称えるだけ。芸人仲間からは「俺にはできない」とまで言われていた。しかし、小島はいつでも自分から「ごぼうのうた」を全力で歌うようにしている。そうすることで子どもも恥ずかしさを捨て、心を開いてくれるからだ。
「子どもは基本ツッコミ」という、お笑い芸人ならではの視点も登場する。ライブ中、小島がわざと地名を間違えると、必ず子どもたちからツッコミの声が挙がるという。そのまま「下手こいたあ!」と持ちネタにつなげるのが小島流鉄板の流れだ。小島はツッコミが子どもたちの教育にもいいと語る。
ツッコミは、子どもたちの注意力、語彙力、空気を読む力を、自然と養っていると思います。
子どもの前では完璧に振る舞うだけでなく、あえてツッコミができる隙を見せてあげてもいいかもしれない。
小島の子ども向けお笑いライブに注ぐ情熱は留まることを知らない。2014年には全米エクササイズ&スポーツトレーナー公認「キッズコーディネーショントレーナー」の資格を取得している。「キッズコーディネーション」とは、子どもの運動神経を伸ばし、学習能力やコミュニケーション能力も育む大切なトレーニングだ。小島は「イスササイズ」「ロケット体操」「よしおのネタ体操」といったエクササイズを考案し、親子で一緒に体を動かそうと呼びかけている。詳しいエクササイズの方法は小島自らモデルになって解説してくれているので、ぜひ家庭でも実践してみるのがおすすめだ。
小島の子どもとのコミュニケーション術には、自身の両親から学んだ部分も大きく反映されている。子どもは親を見て育つというが、大人が思いきりぶつかるから、子どもも大人を信頼してくれる。海パン姿でステージに立ち、全力で歌って踊る小島が子どもに好かれるのは当然だといえるだろう。子どもとの距離感がつかめない大人はまず、小島のように本気で接するところから始めてみてはどうだろうか。
文=石塚就一
この記事で紹介した書籍ほか
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